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2018/04/17

東南アジア主要国における親日度合

山田コンサルティンググループ株式会社

■ はじめに

海外進出をはかる日本企業、あるいは更なる海外展開を図る日本企業が進出先を検討するにあたって、各国における「日本との親和性」を一つの視点として設定することがあります。例えば進出先をマーケットとして捉えるのであれば、当該国の消費者がどの程度日本の文化、日本の製品に馴染みや憧れがあるのか、あるいは進出先でのオペレーションに焦点を充てた場合には、日本語を話す人材が調達できるか、日本的な仕事のスタイルに適応しやすいか、といった視点があり得ます。
多くの日本企業が東南アジアを進出先の上位に挙がる背景には、当然に日本からの距離や経済の成長性が大きな要因ではありますが、東南アジア各国が親日だ、というイメージがあることも一つ影響しているように思います。アウンコンサルティング社による「アジア親日度調査(2016年)」では、東南アジア各国では実に9割以上のインタビュー対象者が日本を「大好き」「好き」と回答している、という結果もあります。本稿では東南アジア各国の「親日」度合を日本に関連するキーワード、データを通じて見ていきたいと思います。
※対象国としては、経済発展の度合や進出先としてのご相談の頻度の高さを考慮し、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンとしています。

1. 基礎データ

各テーマを見ていく前に、各国の基本的なデータを抑えておきたいと思います。日系の製品やサービスは比較的スペック・価格ともに高く設定されていることが多く、各国の所得水準が前提となります。また製品や文化、特に職場の問題を考えるにあたっては各国での日系企業進出数も影響要素となり得ます。

①所得水準

出典:IMF(2016年)

経済発展の段階としては、シンガポールは東南アジアで抜けた存在となっています。近年での成長がめざましいフィリピン、ベトナムは他国に比べ、平均的には低い所得水準に留まっています。

②日系企業進出数

出典:帝国データバンク(企業数、2015年) 外務省(在留邦人数、2016年)

早くから自動車産業を中心に産業集積が進みアジアの製造拠点としてのプレゼンスを有するタイが進出数として圧倒的です。次いで最も経済発展が早く、また地域統括拠点としての進出も多いシンガポール、製造拠点として中国あるいはタイ+1の位置づけが強いベトナムと続いています。シンガポールを除き40-50%は製造業種での進出ですが、ベトナム及びフィリピンではサービス・小売といった業種でも20%を超えている特徴が見られています。また、在留邦人数も比較的これに比例した数値となっています。

2. 消費・生活篇

海外において、日本をテーマとした消費シーンでは、「和食」「アニメ」「美容・ファッション」「旅行」といったキーワードが高い関心を集めています。もちろん、自動車・家電等の日本の製品あるいは企業自体への信頼性の高さもよく耳にするところです。下記では所得水準の影響が大きい「旅行」以外の項目について取り上げます。

①和食

出典:農林水産省、博報堂Global Habit(2014)
※「寿司」「てんぷら」「おにぎり」「味噌汁」等17品目の和食メニューを食べたことがあるかのアンケート。対象は各国の主要都市(バンコク、クアラルンプール、シンガポール、ホーチミン、ジャカルタ、メトロマニラ)の中上位所得層。上記は17品目に対する回答の平均値。

2013年に和食が世界遺産に認定されて以降、世界的に和食はブームとなっていますが、東南アジアでも同様に和食への人気は高まっています。各国の和食店舗数を見てみるとタイが2000軒を超えている他、マレーシアは1380軒と2013年の406軒から急激に増えています。また人口が500万人台と少ないシンガポールの店舗数の多さも目立ちます。一方で、各国の国民に対する和食の経験に関するアンケートでは、店舗数と整合しない結果となっています。タイ、マレーシアが店舗数の多さに関わらず和食経験のアンケートでは比較的低い値となっている一方、シンガポールでは、所得水準も影響してか日本人以外にも様々なジャンルの日本食が現地の人々にも浸透してきている状況が伺えます。特異なのがフィリピンの数値です。所得水準や店舗数から推察すると意外ですが、フィリピン人の和食に対する人気が高いというデータになっています。

②アニメ等、コンテンツ

出典:博報堂Global Habit(2014)
※日本のマンガ、映画、ドラマが好きか、よく見るかのアンケート。対象は各国の主要都市(バンコク、クアラルンプール、シンガポール、ホーチミン、ジャカルタ、メトロマニラ)の中上位所得層(15-54歳)。

日本のマンガ・アニメは海外でもそのまま、MANGA、ANIMEと呼ばれる程人気が高く、各国のTV局でも高い頻度で放映されています。一方で日本の映画、ドラマはかつて人気の高いコンテンツであったが、昨今ではいずれの国でも韓国に押されて影の薄い存在となってしまっています。国別に見るとマンガ・アニメに関してはフィリピンで古くから日本のアニメが放映されていた影響もあり高い人気がある一方で、マレーシアでは非常にプレゼンスが低い結果となっています。また映画、ドラマに関しては、ベトナムに次いでシンガポール、タイで10%を超えるものの、他3ヶ国では一桁台の支持率に留まっています。なお、同調査ではメイク・ファッションで影響を受ける国もアンケートの対象となっており、こちらではシンガポールで18.5%、フィリピンで15.1%が日本を挙げ、その他は一桁台という結果になっています。

③日本製品への人気、信頼

出典:Google Adwordsによる検索結果から作成

上記のグラフはGoogle社のサービスであるGoogle Adwordsにより「Made in Japan」という言葉が直近1年(2017年3月-2018年2月)で各国でどれだけ検索されているかを調べた結果です。
家電等に関しては、韓国や中国のメーカーの台頭も目立ちますが、東南アジアでは依然「Made in Japan」は製品の信頼性を想起させるキーワードとなっています。特にタイでは、古くから日本企業が進出し製造業としての日本のプレゼンスが根付いていることもあるせいか、「Made in Japan」が謳い文句とされるシーンが多いようです。さらに現地では日本と必ずしも関係がない製品・サービスでも、漢字や日本語を広告のキャッチコピーに使う等、日本を想起させることで信頼性を高めようとするケースも見受けられます。

3. 仕事・学習篇

経済成長が続く中で、東南アジア各国では国内企業も成長、拡大を続けていますが、投資・技術を要する製造業等に関しては、日本を始めとする外資企業のプレゼンスが依然強いのも現状です。下記では、各国の働き方や勤務先としての日系企業に対する意識等に関して見ていきます。

①日本語学習、留学

出典:JASSO(留学生数、2017年) JLPT(日本語検定受験者数、2017年第1回)

日本への留学生の出身国として、シンガポールを除いては20位以内に入る主要先であるが、中でもベトナムは中国に次ぐ第2位の6万1千人と東南アジアの中で大きく突出しており、これに伴い日本語学習者数の指標となる日本語検定受験者数も群を抜く数字となっています。昨今で急激に増加しているベトナムへの日系企業進出、ODAによる建設関連を始めとした日系企業の認知向上、等から日系企業への就職も視野に日本への留学、日本語学習の人気が高まっていると想定されます。もう一つの要因としては、コストの問題として欧米等に比べまだ生活コストや学費が割安であることから、所得水準としては相対的に他国より発展途上にあるベトナムに選ばれやすいという点もあります。ベトナムでもトップの富裕層はやはり欧米を留学先として選ぶケースも多くなっています。

②勤務先としての日系企業

出典:リクルートワークス(2013年) ※シンガポール、フィリピンは調査の対象外

各国の20代、30代に対するアンケートにおいて「進んで働きたい」と回答した人の割合
当調査では他に韓国、中国企業も対象となっていますが、いずれの国でも10%台にとどまっており、日本企業の人気はこの2ヶ国より高い。日本企業での勤務を希望する割合はベトナムとタイが高い結果となっています。ベトナムは依然外資企業が産業の中心という色合いも強いことも影響していると思われますが、タイでは日本企業の人気がアメリカ企業よりも高く、古くから日系企業が進出し勤務先として広く認知されている様子が伺えます。

③ 働き方

出典:野村総合研究所(2011年) ※シンガポールは調査対象外

上記表は野村総合研究所が2011年に行った東南アジア各国での生活に関する意識調査のうち、就業に関する考え方に関連する項目について日本におけるアンケート調査の結果と対比する形で記載したものです。
東南アジア各国でも、日本と同様に周囲との人間関係を重んじる傾向があるが、その中でフィリピンは個の意識が強いという結果が出ています。一方で、努力・訓練を厭わない姿勢が強くなっています。これは質問項目の5での起業・独立の意識が強い、という結果にも繋がっているとも想定されます。
またこの中でタイも2.努力・訓練が必要なことはあまりやりたくない」「7.自分がやりたい仕事がなければ働かなくてもよい」という考え方の人が多い点で、特徴的な傾向を示しています。豊かな国土を持ち、おおらかな気質を持つことが背景にあるという見方もできるかもしれません。
また、マレーシア・インドネシアでは比較的上下関係に対する意識が強い、という傾向が見られます。
なお、全体として最も日本との回答結果との差異が小さいのがベトナム、大きいのがタイという結果となっています。

出典:リクルートワークス(2013年) ※シンガポール、フィリピンは調査の対象外

一般に日本と比べ東南アジアでは離職率が高いと言われているが、上記の転職時に前職で働いた期間に関するアンケート調査結果でも、3年未満での転職が日本より相当の割合で多くなっています。対象国のいずれもで概ね70%前後となっているが、マレーシア男性及びインドネシア女性で80%近くなっており、勤務期間の短い間での転職が多い傾向を示しています。

4. まとめ

以上で各種キーワードにまつわるデータを通じて東南アジア各国の親日度を比較して見てきましたが、改めて国別に整理してみます。
【シンガポール】
所得水準の高さを背景に和食は現地の人々にとってもはや特別な物ではなく、日頃口にする食事の一部となってきています。また本稿では取り上げていませんが、訪日旅行客数でも人口5百万人強と少ない中で、世界7位、人口比で言うと6%ものシンガポール人が日本を訪れている計算になります。一方で勤務先や留学先という視点では、アメリカやヨーロッパに向いている傾向が強いかもしれません。
【マレーシア】
上記のデータを通じては、マンガ・アニメといった日本を代表するコンテンツでも非常に数値は低く、全体として生活・消費シーンで他国に比して日本への関心が高い状況は伺えませんでした。とはいえ、シンガポールと同様に訪日旅行客では世界6位となっており、関心が低いとも言い切れないところです。一方で仕事・学習という観点では日本に対する意識あるいは文化的親和性は相対的には低い数値になっています。
【インドネシア】
インドネシアも比較的マレーシアに近く、マンガ・アニメの関心がマレーシアより高い傾向にあったという点を除いては、消費・生活、仕事・学習の双方で他国に比べると親日度合は高くないという結果となりました。
【タイ】
消費・生活及び仕事・学習の幅広い項目で日本に強く影響を受けている状況が見られました。訪日旅行客数も東南アジアでは1位、世界で6位の人数となっています。一方でコンテンツでは他国より関心度合は低かったこと、また働き方、仕事への意識という点では日本的な考え方と大きく違う傾向が見られました
【ベトナム】
タイと同様に消費・生活、仕事・学習の両面で日本への関心・親和性は高いと結果となっています。その中でも勤務先としての日系企業の人気、これに伴う留学先や学習する言語として日本を選択する人が非常に多い点で、特にビジネス面で日本が重要な位置づけとなっているということが出来るかと思います。また、ベトナム人の気質が日本人に近いと言われることもありますが、この点は働き方や仕事に対する意識の点で他国と比べると日本に近い数値となっていた点にも現れているかと思います(それでももちろん、大きく異なりますが)。
【フィリピン】
筆者個人としては意外な結果でしたが、生活・消費の点では和食及びマンガ・アニメといった昨今で日本を代表する文化の点で、フィリピンの日本に対する関心が非常に高い結果となっていました。一方で仕事・学習という点では、それほど日本に対する意識は見られませんでしたが、働き方・意識の点では今回対象とした国の中で努力・苦労を厭わないという点で日本に近い性質が見られました。

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