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2018/06/15

タイの建設機械産業

山田コンサルティンググループ株式会社

1. タイの建設投資動向

タイの建設投資は、景気動向に左右される傾向にあり、2015、2016年は巨額インフラ投資に伴う公共投資の増加により、投資額が伸びた。

(1)民間建設

■タイの住宅建設は、2010年以降増加傾向にあったが、2014年以降は住宅需要の低迷により成長が減速している。これは景況悪化と家計債務の増大に起因するものとみられる。
■しかしながら、バンコク首都圏の民間建設に限定すると、2017年の第2四半期以降回復している。
■タイの民間投資は、向こう数年の公共建設の拡大だけでなく、経済成長及び建設投資の伸びにと並行して今後回復する、と見込まれる。

  • 住宅:低層 (一戸建て、タウンハウス等)、高層(コンドミニアム、アパート、共同住宅等)
  • 非住宅:オフィスビル、工場、倉庫、小売センター、病院及び学校等
  • その他:上記建物建設以外またはインフラ構築(道路、鉄道、港湾やダム等)

(2)公共建設

■2015年以降の公共投資は、2014年までと比較すると輸送インフラに関するいくつかのメガプロジェクトへの投資実行により、急増している。来年度以降も公共投資予算が増額される見込みもあり、この傾向は続く見込み。
■ただし、2017年は、いくつかの地域での洪水の発生や、新たな国家資金調達法施行などにより、予算支出の執行が遅れたことから公共建設が減少した。

(3)輸送機関アクションプランに基づく大規模インフラ投資プロジェクト

2. タイの建設機械産業及び市場実績

(1)輸入

■タイに製造拠点を持つのは少数の世界的大手建設機械ブランドに限定される。従って、成長する国内建設セクターに対応するために毎年多くの建設機械が輸入されている。
■Machinery Intelligence Unit提供のデータベースによると、2017年のタイの建設機械輸入額は740億バーツとなっている。
■タイに輸入されている建設機械のうち、リフト及び取扱機器1や土木機械2が全体の77%のシェアを占めている。

  • 1.リフト及び取扱機械には滑車装置、リフト及びスキップホイスト、運搬機等が含まれる。
  • 2.掘削機、ローダー、杭打機械、ロードローラー、グレーダー(地ならし機)、レベラ(地ならし機)、穴あけまたは掘削の機械、掘進機等が土木機械に含まれる。

■2014-2016年の不景気にもかかわらず公共交通機関インフラ計画への投資が加速したことから、土木機械の輸入額は大きく伸びた。しかしながら、公共投資の遅延や民間建設の減少により、2017年の土木機械・部品の輸入額は減少している。

■中国の各種機械は、その手頃な価格、品質・保証・アフターサービスに関する評価の高まりにより、タイ市場で人気が増している。これら中国製機械の競争力向上は、日本及び欧米の中古機械市場に影響を及ぼすと考えられている。

■一方、日本の重機、特に土木機械及びフォークリフトは、その高品質及び高いブランド認知度により、タイの輸入額で大きなシェアを維持している。 

(2)輸出

■タイの建設機械製造企業は少数であるにもかかわらず、これら企業がタイをアセアン域内の製造拠点と位置付けているため、タイは相当数の掘削機及び自走式運搬用機械(ローダー)を輸出している。
■タイの建設機械輸出の中で最大のシェアを占めているのは、土木機械及び部品であり、これに運搬機/リフト及び取扱機器が続く。

■タイの建設機械の主要輸出市場はアセアン諸国で、総建設機械輸出の約半分を占める。

■2015-2016年は、インドネシアにおける国内需要の低迷とルピア下落に起因する大幅な輸入減のため、タイの建設機械輸出額は大きく減少した。
■しかしながら、2017年はインドネシアを含む世界的景気回復に加え、新興市場、発展途上国からの需要が高まった結果、タイの建設機械の輸出額は大きく伸びた。

(3)タイの建設機械産業システム

タイの建設機械産業は、多くのタイ及び海外メーカーによって成り立っている。タイの企業は、コンクリートミキサー車、コンクリート製造機械や機械交換部品などの、低中程度の技術機器を製造し、一方、海外メーカーは、ハイテクで巨額の資本投資を必要とする重機及び部品などを製造する。

土木機械(掘削機及び自走式運搬用機械)3
■タイに製造施設を持つ海外メーカーは少数で、その主な業務は組立となっている。機械部品のいくつかは国内で製造されているものの、エンジン、ボイラー、ドライブトレインや制御装置等のハイテク部品は依然輸入に頼っている。
■一方、タイには土木機械メーカーの関連会社や独立系の販売会社が多数存在する。これら販売会社や販売代理店などが、バラエティ豊かな機械やブランドの新品及び中古土木機械を輸入するため、国内メーカーは少数となっている。
■レンタル、リース、メンテナンス、オークション等のサービス業務を提供する企業は数多くあり、メーカー及びその代理店の一部は自社の顧客に同様のサービス業務を提供している。
■タイ市場でのトップブランドとしては、コマツ、CAT、コベルコ、日立、ボルボ、住友などが挙げられる。

  • 3.Iron and Steel Institute of Thailand (2014)提供のタイの建設機械状況レポートから要約されました

(4)市場における競争

■近年、国際的に認知されているブランドのタイ市場新規参入や、既存ブランドの積極的な販売活動から、タイ建設機械市場の競争が激化していることが窺える。
■タイの建設機械販売代理店は、自社の競争力の維持・向上のために、ブランドのポートフォリオ拡大、ショールームやサービスセンターの増設、魅力的なリース計画を提供するための金融機関との提携によるリースプログラムの設定など、様々な経営戦略を展開している。

3. タイの建設機械市場主要プレーヤー

(1)タイの主要建設機械メーカー

(2)タイの主要建設機械販売代理店

3.結び

■タイは、成長する建設セクターの需要を満たすため、多くの建設機械を輸入している。ここ数年は、さらに拡大・成長する国内経済及び建設セクターの需要増を狙って、国際的に認知されたいくつかのブランドが新たにタイ建設市場に参入してきた。
■タイの大規模な輸送インフラ整備や、今後成長が期待される近隣新興国の需要増は、タイの建設機械産業の将来性を示すものと思われる。
■同時に、タイの地理的優位性や整備された物流インフラは、地域物流拠点として利用する企業の投資とそれに伴う建設機械への投資を惹きつけるため、今後建設機械市場の競争激化が見込まれる。

吉越 廉朗

YAMADA Consulting & Spire (Thailand) Co., Ltd.
YC Capital Co., Ltd.
Managing Director, CEO

吉越 廉朗

金融機関入行後、本店、海外支店勤務後、技術コンサルティング会社、
金融機関 タイ現地法人代表取締役社長等を歴任。2018年より現職。
タイ、ミャンマー、ラオスの専門家として、本邦企業の海外進出支援、現法の経営課題解決、トラブル対応、現地企業とのアライアンス支援などを数多く手掛ける。
海外駐在経験15年のうち、約8年はタイ駐在。

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