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2018/07/12

中国/業界トピックス/冷凍食品業界の見通し

山田コンサルティンググループ株式会社

冷凍食品業界の概要

  • 中国冷凍食品の市場規模は約1,000億元(17,000億円、17/元で換算。以下、同様。)に達し、平均成長率 10.2%で拡大している。
  • 製品群は、伝統的小麦粉製品類と鍋用冷凍製品類に大きく分けられ、日本の分類とは異なる。
  • 中国の消費者の多くは健康に配慮した安全性の高い食品を選好している。
  • 日中の主要冷凍食品の価格を比較すると、1製品当たりの価格差異はそれほど大きくないが、中国の方が内容量が多い。
  • 中国での売れ筋商品の価格帯は、20元~30元(340円~510円)である。

日中冷凍食品消費金額の推移 (単位:億元)

出所:中国産業情報網、日本冷凍食品協会

日中市場環境比較

出所:中国国家統計局、総務省などによりYCG作成

  • 注1: 日本の消費金額はレポート作成時点の為替レートで換算しており、中国の2017年の消費金額はYCG予想
  • 注2: 中日市場比較表における名目GDPと実質GDP成長率は2017年のデータを使用

日本冷凍食品業界の動向

日本の冷凍食品業界は全体的に安定したマーケット

  • 日本の冷凍食品業界について、日本冷凍食品協会の調べによると2017年の冷凍食品国内生産高は、数量が160万1千トン、工場出荷額は7,180億円で業務用・家庭用いずれも増加基調である。
  • 冷凍食品は全体として需要の拡大が続いているが、約7割のシェアを占める上位5社(マルハニチロ、日本水産、ニチレイ、日清食品HD、東洋水産)の存在感が強く、中小のプレイヤーや新規参入にはかなり厳しい状態である。
  • 工場数と企業数はそれぞれ2007年の746拠点、613社から2017年には466拠点と406社へ減少し、業界の集中度が緩やかに高まっていることが伺える。

日本冷凍食品生産量と消費量の推移(単位:万トン)

出所:日本冷凍食品協会

冷凍食品の工場数と企業数推移

出所:日本冷凍食品協会

中国冷凍食品業界の動向

B2Cで競争激化、B2Bへのチャネルシフト
健康など機能性による差別化小、伝統的食材中心

  • 中国の冷凍食品業界について、2017年の市場規模は約1000億元(17,000億円)に達している。製品群は、餃子、甘団子などの伝統的小麦粉製品類と鍋用冷凍製品類に分けられるが、構成比は6:4で、いずれも前年比2桁で増加している。
  • 日本における冷凍食品の6割が業務用であるのに対して、中国の冷凍食品の大半は代理店を通して小売店やスーパーなどで販売されている。
  • 近年スーパーの地価や陳列費が高騰する一方、外食業や出前業が急速に発達しており、各大手メーカーは飲食店やホテル、学校、政府食堂など業務用の販路拡大を競争の重要領域と捉えている。
  • 中国のTmallネットスーパーの6月25日時点までの主な冷凍食品の販売量から見ると、伝統的な水餃子依然として最も売れており、中式パンケーキがその次となる。

中国冷凍食品売上高の推移(単位:億元)

出所:中国産業情報網

主な冷凍食品の販売価格と月次販売量

出所:Tmallネットスーパー2018年6月25日時点のデータを統計

  • 注:販売量は6月1日から25日時点までの販売量である

Tmallネットスーパーの主な売れ筋冷凍食品一覧

出所:Tmallネットスーパー6月25日時点のデータ

マクロ環境

中国の都市化率上昇と可処分所得の増加により冷凍食品の消費量は今後長期に渡り増加するとみる

アメリカと日本の冷凍食品業発展の推移から見ると、都市化率が50%を越えると、冷凍食品が爆発的な増加段階に入る傾向がある。一方で中国は、2017年の都市化率は58.5%に達し、冷凍食品の本格成長期に入っている。

日中の都市化率推移

出所:World Urbanization Prospects

中国の一人当たりの可処分所得が穏やかに増加している一方、下の2つめの図に示すように、現時点では一人当たりの冷凍食品の消費量は9kgに止まり、アメリカやヨーロッパなどの先進国を大きく下回っている。また、中国冷凍食品の種類はまだ少なく、日本の6分の1程度である。

一人当たりの可処分所得の推移(単位:元)

出所:中国国家統計局

国別一人当たりの消費量とアイテム

出所:中国産業情報網

都市部と農村部の一人あたり可処分所得の差が大きい

  • 主要都市別の一人あたり可処分所得を見ると、可処分所得が3万元(510万円)を超えている省市は全国で7省市あり、都市部と農村部には大きな差が見られる。今後農村部の可処分所得の上昇とコールドチェーンの発展により、農村部の冷凍食品消費の増加が期待できる。
  • 主要都市別飲食チェーンの店舗数から見ると、現在は飲食チェーンが一級都市に集中している。今後可処分所得の増加に伴い、二三級都市における飲食チェーンが増加し、間接的に冷凍食品の需要が拡大すると見ている。

主要都市別一人あたり可処分所得(2017年)

出所:中国国家統計局

主要都市別飲食チェーン店舗数(2014~2015年)

出所:中国報告網

市場環境

ファストフードチェーンに対するB2B業務が期待できる

  • 中国産業情報網によると、16~17年にベンチャー投資を受けた飲食チェーンは合計47件あり、そのうちファストフードと出前 関連はそれぞれ13、12件で、それぞれ全体の27.7%と25.5%を占めている。
  • ベンチャー投資を受けた業態から見ると、ファストフードと出前関連が最も人気を集めている。また、ファストフードの消費量が増加しているが、これは消費者が飲食業に対して、スピードや簡便さへの要求が高まっていることの現れである。ファストフードは冷凍食品の潜在的競合という見方が一般的であるが、ファストフード店も冷凍食品を使用し始めているため、冷凍食品はむしろ次の巨大な提携相手と捉えるべきであろう。

16~17年ベンチャー投資を受けた業態別飲食チェーン

出所:中国産業情報網

各種レストランの店舗数推移

出所:中国産業情報網

事業構造の把握とKSF

  • 中国冷凍食品業界の市場規模はCAGR10.2%で成長しており、今後も需給が拡大するとみるが、市販の種類が少なく、各ブランドの差別化があまり図られていない。
  • 販売チャネルは卸売:スーパー:飲食店の割合は6:3:1で、近年スーパーの陳列費高騰や価格競争激化により、積極的なホテルや飲食店向け販路の開発は成功の鍵となる。

冷凍食品の商流

  • 中国大手冷凍食品メーカーの6割は販売代理店経由の卸売。
  • 冷凍食品は輸送プロセスにおいて温度制御が必要であるため、販売代理店や物流会社の冷凍設備及びコールドチェーンの発達度合に大きく影響される。

出所:一般社団法人 日本冷蔵倉庫協会

中国冷凍食品の発展段階

  • 冷凍食品に対する意識の変化とコールドチェーンの発達により、冷凍食品は2005年頃から急速発展段階に入る。
  • 業務用向けの割合は依然として小さく、販路拡大は各プレーヤーの重点的な競争領域となる。

出所:中国産業情報網によりYCG作成

競争環境

大手4社でシェア7割、商品の差別化が図られていない

中国の冷凍食品のプレイヤーを見ると、大手メーカーの三全、思念、湾仔碼頭、安井食品の4社で7割のシェアを占めている。既存製品群での新規参入は厳しい状態ではあるが、いずれも伝統的な餃子、甘団子などの製品がメインで、商品の差別化はあまり図られていない。

主要プレーヤー(2016年)

出所:中国産業情報網

販売チャネルは卸売が6割を超える

中国の大手企業の販売チャネルから見ると、伝統的な卸売が圧倒的に主要な販路となっている。近年スーパーでの販売コストの高騰により、飲食店やホテル向けの販路拡大が各社の重要な営業方針になっている。 大手企業の販路は卸売:スーパー:飲食店=6:3:1で、直接飲食店向けの割合はまだ小さい。

主要販売チャネル(2016年)

出所:中国産業情報網

競合-他社事例(三全食品)

  • 国内シェア28%前後、冷凍食品生産販売業者として最大手。

<企業概要>

売上高推移

当期利益推移

<取組事例>

出所:有価証券報告書、企業HPよりYCG作成

ニーズの多様化に応じる新製品の開発が成功の鍵になる

  • 消費者の多様化するニーズに応じて、近年三全は健康と栄養に配慮した新商品を積極的に開発し、新商品を矢継早に発売している。
  • 従来の低価格の水餃子だけではなく、拡大する中間所得層と富裕層に向けて、餃子の具に高級材料を使った製品を高価格で販売し始めている。
  • 以前なかった中式のパンケーキや果物の具が入っている団子などの発売により、三全の商品に対するイノベーションが伺える。

商品情報

出所:企業HPよりYCG作成

幅広い年齢層に対応した製品の開発と地域別のプロモーションが三全の強み

三全の独特な販売ルート

出所:企業HPよりYCG作成

外資企業の進出事例<General Mills>

Wanchai Ferryを通じて中国市場に進出

Wanchai Ferry(湾仔碼頭)はハイエンドの冷凍食品を販売するブランドと位置づけられ、マーケットシェア17%前後で、冷凍食品業界第3位のビッグプレイヤーである。同社は「母の味」を訴求点として、従来から高品質な製品展開に注力し、他社製品よりやや高い価格帯で販売している。

想定する消費者層

  • 25~45歳の中高収入の女性
  • 相対的に学歴が高く、高品質の生活を追及している
  • 既に母親になっている女性が主要ターゲット
  • 一、二線都市に居住し、モバイル端末の使用率が高く、ソーシャルメディアをよく使う

ブランドストーリー(母の手作り料理)

マーケティング戦略

  • パーケージや餃子の具などにこだわったハイエンド商品
  • 高級ブランドに位置づけ、具の材料を細かく記載
  • 「母の味」を訴求点として、創業者臧氏のストーリーを語り、既に母親になっている女性の共感を喚起する
  • 一、二線都市を主要販売地域として、KOL(キーオピニオンリーダー)を使いWeiboやWechatなどのソーシャルメディアで積極的に宣伝

業界の問題点と今後の見通し

問題点

  • 右図に示すように、中国の冷凍冷蔵倉庫の4割は華東地域に集中し、内陸部の冷凍インフラはまだ整備されていない。
  • 川上である生鮮農産品の生産地域が非常に分散化しているため、物流のコストが極めて高い。
  • 一方、冷凍と貯蔵施設の遅れで輸送時の損耗率がかなり高いため、中国冷凍食品業界の大きな問題点となっている。

冷凍冷蔵倉庫 地域別(省)所管容積の割合

出所:日本政策投資銀行 「拡大するアジアの低温/定温物流」

今後の見通し

  • 近年技術の進歩とコールドチェーンの発展により、輸送時の損耗率に改善の兆しが見え始める。業務用冷凍庫保有量も今後更に増加する見通し。
  • 中国の消費者の多くは健康的で安全性の高い食品を選好しており、健康消費は将来の主要消費テーマとなるだろう。
  • 出前は冷凍食品の強力な競争相手ではあるが、今後人件費コストの上昇で低温処理で無添加の冷凍食品が出前より選好されやすいとみる。
  • 飲食店やホテルなど業務用向けの販路拡大は今後の大手冷凍食品メーカー競争の重点領域となろう。

中国業務用冷凍庫保有量推移

出所:中国産業情報網

日本企業のビジネスチャンス

  • 中間所得層の台頭や富裕層の増加による健康志向の高まり、内陸部中間層の増加や中国政府の冷凍食品に関する政策の整備などにより、高品質な日本産冷凍食品の需要拡大が見込まれる。
  • 現在B2B(業務用)向けの市場は大きくないが、今後人件費コストの上昇と消費者の利便性に対する欲求の高まりでファストフードチェーン店や火鍋チェーン店での冷凍食品の消費量拡大が見込まれ、これらの業態チェーンへのアクセスによるB2B経由での参入が有効であると考える。
  • コールドチェーンの発達の遅れから、冷凍食品のEC販売浸透率は現状高くないが、近年急速にコールドチェーンの整備が進むことから、もしB2Cで参入する場合、盒馬鮮生や京東生鮮など冷凍冷蔵の大手ECとアライアンスを組むのも一つの有望な選択肢とみる。

業界マップ

出所:各社HPよりYCG整理

  • 注:日系の冷凍食品メーカーは比較的早期に中国で合弁企業を設立したが、従来製品の日本向け輸出を主としていたため、中国市場での認知度が低い。近年、中国市場を意識して内販に取り組む企業が増えてきている

唐 菊媛/平井 孝明

山田コンサルティンググループ株式会社

唐 菊媛/平井 孝明

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山田コンサルティンググループ(上海)有限公司
データリサーチチーム 唐 菊媛
2015年7月
上海Evalueserveビジネスコンサルティング会社 株式調査部 研究員
2018年5月より
山田コンサルティンググループ株式会社 上海現地法人 調査員
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海外事業本部 マネージャー 平井 孝明
2011年4月 
山田コンサルティンググループ株式会社 入社  
2012年7月~2018年3月
上海現地法人 出向、現地法人の立ち上げに参画
中国現地法人の実態把握、業績改善支援、内部統制、進出・再編・撤退案件から、
クロスボーダーM&A、マーケットやニーズ調査など幅広い業務に携わる
2018年4月より 現職
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