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2018/07/13

中国/制度トピックス/安全生産規制と会社機関の構築

山田コンサルティンググループ株式会社

■ 本件のポイント

  • 2014年、中国安全生産法の改訂後、製造会社の安全生産義務が厳格化し、会社の総経理等の個人に法的責任を追及することが可能になった。
  • 2016年以降、江蘇省・上海市等の省・直轄市は、安全生産条例を制定し、生産企業は、安全生産体制の構築、安全生産部門責任者(安全生産総監)の設置が義務化となった。(なお、安全生産総監は、副総経理に相当する処遇にしなければならない。)
  • 2017年1月、国務院弁公庁が、「安全生産『十三五』計画」を公表した。2020年までに、安全生産責任体制の厳密化、安全生産法令の健全、事故件数の大幅な減少、重大・特大事故不発生などの目標を明確化した。
  • 2017年10月、安全監督管理総局が「危険化学品安全生産十三五計画」を公表した。2020年までに、化学工業生産安全事故発生件数・死亡人数を2016年比で10%削減するなどの危険化学品の安全生産管理に関するさまざまな目標を掲げた。また、最上位法となる「危険化学品安全法」の制定を進めている。
  • 安全生産体制の構築、安全生産総監の設置は、会社定款の変更、会社規則の制定が必要であり、日本本社の人事制度、安全生産管理制度に影響が及ぶ。

1. 安全生産体制構築の義務

(1)会社の経営責任者は、同時に生産における主たる責任者である。安全生産責任者は、会社安全生産業務について、全般責任を負わなければならない。具体的には、下記の通りである。(安全生産法第18条)

①安全生産責任体制を確立し、健全化する
②安全生産規則制度、及び操作規定を制定する
③安全生産教育、研修計画の制定、及び実施を保証する
④安全生産投資計画の有効な実施を保証する
⑤安全生産業務について督促、及び検査し、安全生産事故のリスクを遅滞なく除去する
⑥生産安全事故緊急対応救援に関する事前案を制定し、これを実施する
⑦生産安全に関わる事故の事実を遅滞なく報告する

(2)会社の安全生産管理部門及び安全生産管理人員は、会社安全生産業務について責任を負わなければならない。具体的には、下記の通りである。(安全生産法第22条)

①安全生産規則制度、操作規程、及び生産安全事故緊急対応に関する事前案を立案、又はこれに参与する
②安全生産教育、及び研修を実施、又はこれに参与し、安全生産教育と研修の状況を事実に基づき記録する
③重大リスクに対する安全管理措置について、具体化を督促する
④緊急対応救援演習を実施、又はそれに参与する
⑤安全生産の状況について、生産安全事故のリスクを遅滞なく徹底調査し、安全生産管理の改善に関わる建議を提出する
⑥規則違反の指揮、危険を冒す作業の強要、及び操作規程違反に係る行為を制止し、是正する
⑦安全生産整頓・是正措置の具体化を督促する

2. 安全生産規制に関する処罰

事業生産会社の主要責任者が定められた職責を履行しなかった場合、下記の処罰を実施する。(安全生産法第92条)

表:職責を履行しなかった場合の処罰

会社事業において生産安全事故が発生した際、生産事業者の主要責任者が下記の事由に一つでも該当する場合には、降格、免職の処分とし、安全生産監督管理部門が前年年収の60%から100%の過料を科す。(安全生産法106条)

  • 応急措置を直ちに実施しない
  • 事故の調査処理期間にみだりに持ち場を離れる
  • 逃亡(※逃亡した場合は15日以下の拘束処分とする。)

また、犯罪を構成した場合は、刑法の関連規定に基づき刑事責任を追及する。

3. 対処方法

  • 安全生産管理に関わる責任者を明確にする
  • 安全生産法では、主要責任者・安全生産管理機構・安全生産管理人員などの責任者の配置が求められている。このため、社内におけるこれらの関係者を、具体的な役職、もしくは固有名詞レベルで特定する必要がある。場合によっては、会社定款を修正し、安全管理責任者の地位を会社最高規程として定める必要がある。

  • 役割・権限・責任を明確にする
  • 安全生産法に基づき、安全生産に関する責任の所在を明確にしつつ、取組みの実効性を確保するために、責任者の役割・権限・責任を業務分掌などで明確にしておくことが求められる。

  • 安全生産に関する意思決定のルールを整備する
  • 安全生産に関する規程の制定や重要な変更については、事前に工会(労働組合)と、安全生産管理機構もしくは安全生産管理人員の意見を聴取するよう求められている。このため、「安全生産管理機構での審議」→「工会との協議」→「董事会での承認」といった承認プロセスなど、意思決定のルールを予め決めることが必要となる。

  • 安全生産管理機構の運営を中心とした年間活動計画を策定する
  • 安全生産管理機構の運営を基軸として、リスクマネジメント活動の年間計画を策定する必要がある。また、計画の実施状況と進捗を確認することが重要である。

  • 外部の専門機関を活用する
  • 外部の専門機関に生産現場の安全調査を依頼するなど、客観的かつ専門的な観点から対策を行うことが重要である。。

  • 安全教育の年間活動計画を策定する
  • 安全生産法に基づき、安全教育に関する年間活動計画を策定し、組織的・体系的な安全教育を継続的に実践するとともに、教育の効果を検証することが重要である。

徐 啓楠

山田コンサルティンググループ株式会社  海外事業本部
山田コンサルティンググループ(上海)有限公司

徐 啓楠

中国弁護士(上海市司法局・上海市弁護士協会登録)。
2017年11月山田コンサルティンググループ(株)入社。中国進出・撤退等の業務に従事し、多数の中国案件に関与。
2018年4月より、山田コンサルティンググループ(上海)有限公司に出向。
設立(合弁含む)、撤退・縮小、債権回収、知的財産権対策、契約書審査、訴訟対応等、中国進出日系企業の法務全般に関わる。

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