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2018/08/03

中国/業界トピックス/中国健康食品業界の見通し

山田コンサルティンググループ株式会社

第1章 健康食品業界の概況

健康食品業界のサマリー

  • 市場規模は、2016年約4,200億元(71,400億円、17/元で換算。以下、同様)で、年率10%以上で拡大しており、輸入品は少ない。
  • 製品の主な輸入相手国は、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、日本などである。
  • 健康食品の購買要因は効能や品質が挙げられ、口コミやSNSなどの影響が大きい。
  • 中国で健康食品として効能や栄養素を表示して販売するには、CFDAの認可が必要となり、最低でも数百万円の検査費と3ヵ月以上の審査期間が必要である。
  • 輸入については、製品93億元(約1,581億円)、原材料等を含めると192億元(約3,264億円)となっており、輸入品の構成比は小さい。

健康食品業界の分類と定義

政策・規制

 中国の健康食品は、CFDA(中国国家食品薬品監督管理局)の認可のある「保健食品」と「普通健康食品」に大別される。「保健食品」は、「機能性保健食品」と「栄養補助剤」に分けられ、それぞれパッケージに「保健食品」マークと機能成分や効能を記載することができる。ただし認可を得るには、3ヵ月以上の審査期間と、各種検査費に数百万円が必要となる。

  • 保健食品の登録に費用はかからないが、検査機関向けに各種検査費用を負担する必要がある。
  • 中国内には22の検査機関が検査サービスを提供しており、機関や項目によって費用も異なるが、日本貿易振興機構の調査によると、大体な目安は左記テーブルの通りである。

保健食品の許認可取得手続き

  • 保健食品のパッケージ上効果の表示は、保健食品の届出・登録が必須である。
  • 保健食品の許認可を得るまでに数年の期間を要することも珍しくない上、各種検査費用が数百万円に上り、許認可を取得するのに5 年程度以上かかった日系企業もあるといわれ、ややハードルが高い。

CFDAの認可数と主要原材料

輸入保健食品の認可数は毎年20件以下に留まる

 健康食品市場の拡大に伴い、各社は新製品開発に力を入れており、2017年の保健食品の認可件数は881件である。直近5年間の平均で見ると、934件となる。毎年1,000件近い保健食品が誕生していることから、保健食品の製品ラインナップの新陳代謝は高いことが伺える。また、輸入製品の認可件数は、近年では20件以下に留まっており、国内生産の製品が大半を占めている。

アメリカ人参は原材料としての使用率が最も高い

 認可を受けている保健食品の原材料についてみると、アメリカ人参(中国名:西洋参)の使用認可件数が21.5%と特に多く、プロポリス(中国名:蜂膠)11.0%がこれに次いでいる。これらの原材料の効能は、免疫力向上であることから、消費者の期待が高い効能に合わせた製品を開発した結果であると考えられる。

事業構造の把握とKSF

  • 中国消費者が保健食品の購入で最も重視するポイントはブランドと安全性である。
  • 中国消費者は従来から保健食品に対する誤解が深いため、偽物、膨大宣伝などのイメージを払拭することによりブランドイメージ向上は成功の鍵となる。

健康食品の商流

  • 健康食品全体の85%は国産で、輸入品は15%に過ぎない。
  • 販売経路としてスーパーは25%を占めており、ネットショップ、ドラッグストアと薬局はの販売量はそれぞれ18%、14%、14%である。

第2章 健康食品の市場動向

中国国内の市場環境

都市部一人あたり可処分所得の増加と高齢人口の増加が後押しとなる

  • 高齢人口(65歳以上)は2010年比で1.3倍の1億5,831万人となり、人口全体に占めるシェアは2010年の8.9%から2015年の11.4%へと増加した。高齢者はほかの年齢層より心臓血管病、高血圧、糖尿病などの患者が多いため、保健食品への需要が高い。
  • 全国都市部の一人あたりの可処分所得は2017 年時点で3万6,396元(約62万円)となり、特に上海、北京、浙江省の都市部一人たり可処分所得は5万元を超えている。
  • 各国における一人当たりの年間保健食品の消費金額を比較すると、中国は18ドル(2013年)で最も低い。日本とアメリカはそれぞれ中国の5、6倍であり、所得の増加を考えるとまだ拡大の余地があるとみる。

中国健康食品企業の動向

健康食品関連企業は沿岸地域に集中する傾向あり、輸入品の構成比は小さい

  • 2015年末に従事する企業数は2,440社、製品数16,229件(輸入製品746件を含む)である。企業は、北京市、広東省、浙江省、上海市、山東省、江蘇省の6省・直轄市に8割以上が集積している。
  • 保健食品の購入者は沿海地域に集中しており、特に長江デルタ一帯の売上は全体の25%を占めている。
  • 効能別商品比率から見ると、CFDAに登録済みの国産と輸入食品の効能の比率が大きく異なり、国産保健食品には免疫力向上類商品の比率が18.7%と最も高いのに対し、輸入保健食品には高脂血症改善の商品が最も大きなシェアを占めている。

中国人の健康状況

75%の中国人は半健康状態にあるため、免疫力改善が最も重視されている効能である

  • WHOの2016年の中国人の健康状況に関する調査によると、75%の中国人は「半健康」 ※状態にあり、中国人の健康状況は無視できない厳しい状態にあることが明らかになった。
  • また、同調査によると、「半健康」 状態にある患者の年齢層はほぼ18歳~45歳の間であり、70%のホワイトカラーと85%の管理職の人は半健康にあり、健康食品の需要層となりやすい。

  • 中国の健康食品の効能はCFDA(国家食品薬品監督管理総局)が定める27種に分類されるが、最も重視されているのは、免疫力改善である。年代が上がるにつれて重視する割合が高まり、全体でも51.7%と高い比率になっている。次に重視されている効能は、疲労感軽減で、こちらは若年層(18~35歳)ほど重視する割合が高い。
  • 重視される効能の傾向は、都市の規模・発達(1級都市、2級都市、3級都市)、性別などによっても異なり、免疫力改善や疲労感軽減は1級都市の方が重視され、疲労感軽減は女性よりも男性の方が重視される傾向にある。

主要プレーヤー

  • 中国市場で上位5社は約34%の市場シェアを占めており、全体的には市場は分散化状態である。
  • 外資系では、アムウェイ(アメリカ)、パーフェクト(マレーシア)、ハーバライフ(アメリカ)などがある。中国系では、無限極(Infinitus)、 東阿阿膠(DEEJ、深セン上場)やオーストラリアのスイスウェルネスを買収した合生元(Biostime)、多ブランド展開をする湯臣倍健 (By-health、深セン上場)などが有力である。

保健食品の販売チャネル

リアル市場後退、EC市場はCAGR 57%で利用拡大

  • 保健食品の販売チャネルとして直接販売※は中間の流通プロセスが減り、ランニングコストが節約できるというメリットがあることから、全体の半分近くのシェアを占める。
  • 薬局(ドラッグストア含む)やインターネット販売(EC)が直販に次いでいる。
  • 近年、「淘宝」、「京東」などインターネットモールの急速な発達などで、EC経由での販売が2011年~2016年のCAGR 57%で急拡大している。Alibabaや京東系のECドラック直販店の発達により、今後もEC経由の販路が拡大するだろう。

健康食品のチャネル特徴

  • 中国の健康食品チャネルの特徴は下記のようになっている。設定したターゲット顧客との親和性、取引規模、経済合理性などからチャネルの選定が大事。

ECでの販売動向

  • 中国直販EC大手京東発表のデータによると、6月12日時点までに京東の年中セールスイベントで健康食品類の売上高は前年同期比119%となり、そのうち、雀巢健康科学(Nestle Health Science )と雅培の全安素はそれぞれ前年同期比450%と260%となっている。
  • 性別から見ると、女性ユーザーの比率は徐々に上昇し、女性関連の美容類、貧血改善、ビタミン補充(葉酸含む)などの商品は急速成長を遂げたとともに、児童向けの営業補充サプリメント類も好調、両方とも2018年のCAGRは160%を超えていた。

コンビニエンスストアでの販売動向

  • 下図のリポビタン(中国名:力保健)とウコンの力(中国名:姜黄之力)は日系のコンビニエンスストアで最も人気の保健食品である。(左下の写真はローソン、右下はファミリーマートで撮影)
  • コンビニエンスストアで販売されている保健食品の大半は疲労回復がメインの効能である。次は美容関連である。

健康は今後の主要な消費テーマになる

消費の中心は健康関連へシフト

  • 京東グループ発表のデータによると、2018年の年中セールスイベント期間では京東全球購保健食品の売上高は前年同期の2.2倍となり、有機食品と無糖食品はそれぞれ3倍と1.6倍となった。
  • 興味深いことに、下記健康関連商品の消費層は従来の中高年者層から若年層へ拡大し、1990年代生まれと2000以後生まれの消費者は今後EC販売の保健商品の主要ターゲットになる。

合弁会社およびM&A事例一覧

  • 中国の外資企業に対する規制により外資による単独出資はハードルが高く、国内市場が飽和しているため、多くの企業は中国本土ブランドに注力し、積極的にM&Aと合弁設立事業を行っている。
  • 中国系企業にとって、積極的にM&Aを行う理由が製品ラインナップの拡大、ブランドイメージの向上などが挙げられる。

第3章 消費者意識調査

消費者の国内外の保健食品に対するイメージ

  • 中国消費者協会2016年の消費者調査によると、中国消費者は外国産の保健食品により国外のほうが効果が高いと思っている人が41%あり、海外のブランドはかなり信頼されていることが伺える。
  • また、同調査によると、消費者の保健食品の広告を信頼しないと答えた人は62%あり、消費者の広告に対する信頼度はかなり低いことが示されている。

消費者の購買行動

  • BCGの2013年 「洞察から行動へ:中国保健食品業界」に関する消費者意識調査によると、85%の消費者が保健食品を購入する際に既に目当ての商品があったということがわかった。
  • 一方、目当ての商品があっても、結局45%の消費者が目当ての商品を買わなかったことから、リアル店舗の場合では薬剤師や専門販売員の重要性が伺える。

第4章 競合-他社事例

H&Hグループの概要

  • 1999年粉ミルクブランドである合生元を創業し、2010年に香港証券取引所に上場。
  • 国内市場の厳しい競争環境を乗り越えるため、2015年から積極的に海外のブランドを買収開始。

<取組事例>

  • 国内市場の厳しい競争環境を乗り越えるため、積極的海外企業と連携する
  • ベビーヘルスケアセグメントでは、乳児・幼児向けの超ハイエンド粉ミルク開発に注力
  • 成人ヘルスケアセグメントでは、越境ECだけではなく、中国の主要ECプラットフォームに積極的に出店

H&Hグループの沿革

  • 2015年にオーストラリアの保健食品ブランドSwisse Wellnessを買収することを通して保健食品業界に進出。
  • H&Hグループの2017年度の売上高80.95億元に対し、Swisseは34.14億元で、42%を貢献している。

Swisseの市場動向

  • Swisseの本社は依然としてオーストラリアのメルボルンに設置され、中国市場では海外ブランドとして人気を集めている。
  • SwisseはAlibaba系だけではなく、JD、Vipshop、Kaolaなどの中国大手ECプラットフォームにも積極的に出店している。

Swisseのマーケティング戦略

  • 中国とオーストラリアの大物人気俳優範冰冰とNicole Kidmanを広告モデルとしてブランド・イメージを向上。
  • 品質を保証するため、ECでの個人代理店が厳しく管理されている。

  • 大物人気俳優範冰冰とNicole Kidmanの「ダブル11」イベントの開幕式への参加により、中国消費者の間ではヒットトピックとなっていた。
  • 2017年の11月11日「独身の日」イベントでTmallプラットフォームでの売上高は100百万元(1,700百万円)を超えていた。
  • Swisseの旗艦店はTmallプラットフォームにおいて海外ブランド売上1位となり、「中国消費者が最も好きな海外ブランド」を受賞。

まとめ

日本企業のビジネスチャンス

  • 中国国内の保健食品はブランドが分散している状態にあり、中国消費者は海外ブランドを選好することもあり、外資系ブランドにとって参入の好機であると見ている。
  • 中国市場に参入する場合、既にブランドを確立しているプレーヤーへ、既存の素材よりも機能性の高い日本の素材を提案し、新製品開発を促す流れが一つのモデルである。
  • 輸出で中国市場に参入する場合、中国の実力のある代理店を選択することが成功の鍵となる。
  • 販売チャネルの面においては、ECチャネルによる参入が有望で、この場合、EC利用者は20歳から45歳が多いため、若年・中年層に訴求できる製品に注力する必要がある。

唐 菊媛/平井 孝明

山田コンサルティンググループ株式会社

唐 菊媛/平井 孝明

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山田コンサルティンググループ(上海)有限公司
データリサーチチーム 唐 菊媛
2015年7月
上海Evalueserveビジネスコンサルティング会社 株式調査部 研究員
2018年5月より
山田コンサルティンググループ株式会社 上海現地法人 調査員
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海外事業本部 マネージャー 平井 孝明
2011年4月 
山田コンサルティンググループ株式会社 入社  
2012年7月~2018年3月
上海現地法人 出向、現地法人の立ち上げに参画
中国現地法人の実態把握、業績改善支援、内部統制、進出・再編・撤退案件から、
クロスボーダーM&A、マーケットやニーズ調査など幅広い業務に携わる
2018年4月より 現職
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