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2018/08/09

タイ食品市場の概要

山田コンサルティンググループ株式会社

1. 市場の規模と特徴

(1) 大きな経済規模と顧客ベース

  • タイの総人口は約6,760万人で、東南アジアで4番目に多い(2017年)。
  • タイ総人口に占める労働力人口(15歳~59歳)の割合は約67%である。
  • タイの経済規模はインドネシアに次いで東南アジアで2番目に大きく、2017年のGDPは15兆4,530億バーツ(約4,553億米ドル)だった。さらにタイの2018年のGDP成長率は4.2%-4.7%と予測されている。

  • 現在タイは上位中所得国だが、2026年末までに高所得国になることを目指している。
  • タイの全世帯数に占める中間所得世帯数(①)の割合は、2010年の69%から2015年には73%に増加しており、2020年には75%になるものと予測されている。

  • ①中間所得世帯とは、年間所得が175,000バーツから875,000バーツの世帯と定義される(出所: Deloitte’s Thailand Consumer Survey Report)

(2) 消費者グループの中で最も大きな割合を占め、今後老齢人口拡大の要因となるミレニアル世代

  • 2017年のタイの人口中央値は37才である。これに対して日本は約47歳である。
  • ミレニアル世代(ジェネレーションY)は、タイの総人口の中で最も大きな割合を占めているため、今後の小売・飲食サービスの市場動向に大きな影響を及ぼすものと思われる。この年代の特徴としては、ITなど現代テクノロジーに精通している、情報を重視する、SNSを活用している、好みがはっきりしている、金融に関する知識やスキルを有するということが挙げられる。(②)
  • タイでは老齢人口が増加傾向にあり、総人口に占める割合は2020年の約19%から2040年には32%に増えると予測されている。

  • ②SCB Economic Intelligence Centerが実施した2014 Consumer survey(消費者調査)の結果

(3) 小家族化傾向

  • タイでは世帯の小家族化が進んでいる。国家統計局(NSO)の調査によると、1世帯当たりの平均人数は、2000年の3.8人から2017年には3.16人に減少している。
  • 核家族(③)や単身世帯の割合が大きくなり、世帯数は増加している。

  • ③夫婦二人世帯

(4) 地域の状況

  • バンコク首都圏及び隣接地区は、経済規模が国内で最大であり、GDPはタイ全体の約46% を占める(2016年)。人口ではタイ全体の 23%を占める。
  • バンコクは首都であるだけでなく、金融・ビジネスの中心地であり、さらに観光地でもある。バンコクの経済開発、交通システム、生活・消費に関わるライフスタイルのレベルは他地域をはるかにしのぐ。
  • 東部は、経済規模が国内で2番目に大きくGDPの18%を占める。また、国内物流の要衝であり、自動車や化学の主な製造拠点でもある。
  • 人口が最も多いのは北部であり、総人口の28%を占める。しかしながら、北部の人口は農村部に集中しており、そのほとんどが農業従事者である。北部地域内では、東北部への玄関口であるナコーンラーチャシーマー県の人口が最も多い。

(5) タイにおける食品消費の主な動向

①外食傾向

  • タイ世帯の食費の主な品目は、依然として家庭での調理用の食品である。とはいえ、外食傾向も顕著になっており、2012年から2016年には外食費支出が年平均成長率12%で増加した。

  • タイの外食支出全体に占める地域別の割合は、バンコク首都圏及び隣接地区が最も大きく、これに中部が続く。理由は、都市部の家族や社会人が自宅で調理や食事の準備をする時間が徐々に短くなっていることにある。労働時間が延び所得が増加したことで、消費者はより頻繁に外食するようになっている。

②健康志向

  • より健康的な食品を求めるタイの消費者が増えている。例えば、栄養価を高めた食品、オーガニック原材料を使用している食品、低カロリーのもの、糖分・塩分・脂肪が少ないものなどである。しかしながら、タイの健康食品市場はまだ非常に規模が小さく、都市部のみに限定されている。

③さほど価格に敏感ではない都市部消費者

  • 所得水準が上昇しており、市場に並ぶ商品の選択肢の幅が広い都市部において、一般的な消費者はさほど価格に敏感ではない。Deloitteがバンコクとチェンマイで実施した消費者調査によると、加工食品を購入する際の上位3要因は味、安全性、信頼性だった。価格はこれに次いで4位だった。

④モダン小売が勢力を拡大

  • 中間所得者層の増加、都市化、モダン小売店舗の急増による影響で、消費者の生活スタイルが変化している。モダン小売は、特に都市部で、消費者が商品を購入する主なチャネルとなっている。
  • タイの小売市場に占めるモダン小売の割合は、2010年の50%から2015年には60%になったが、タイ商工会議所大学(UTCC)ではこれが2020年には70%に達するだろうと予測している。

  • 米国農務省(USDA)によると、食品生産物については、モダン小売りはタイの小売食品販売全体の約70%を占め、消費者は生鮮市場や従来の食料品店からパイパーマーケットやスーパーマーケットにシフトしている。
  • さらにDeloitteの消費者調査では、都市部人口の大半(75-80%)が加工食品を買う場合、モダン小売店舗(特にコンビニエンスストアやハイパーマーケット)を好むことを示している。

⑤タイ食品市場における外国人旅行者の割合が上昇

  • 外国人旅行者は2016年以降年間3,000万人を超えており、タイ経済におけるその役割の重要性が近年高まっている。同外国人旅行者のタイにおける食品・飲料支出額は、2011年から2016年にかけて年平均成長率18%と大きく成長している。

  • 外国人旅行者数の増加や、同旅行者のタイにおける食品・飲料への支出額の増加傾向によって、バンコクおよび主要観光地(プーケット、クラビ、チェンマイなど)にあるモダン食品小売店やレストラン市場がその恩恵を受けている。

2. タイにおける食品製造

  • タイは世界有数の食品生産・輸出国であり、2017年の食品輸出額は約1兆バーツだった。
  • タイ国家食品研究所(NFI)によると、タイには約7,000の食品製造会社がある。
  • その大半は中小企業であり、主に国内市場向けに製造している。しかし、中堅企業、大企業の多くは国内外の両市場向けに高価格帯の食品を製造している。

  • タイ工業省工業経済局(OIE)の産業調査によると、食品加工全体に占める国内市場の割合は59%である(④)。
  • 豊富な原材料、低コスト、戦略的に有利な立地という利点を生かそうと、多くの外国食品製造会社がタイに投資している。
  • 規模が大きく細分化したタイの食品製造セクターは、(原材料としての)生鮮食品や食品添加物などの輸入に大きな機会を提供している。

  • ④タイ工業省工業経済局(OIE)が実施した工業調査は、冷凍食品、缶詰食品、食用油、乳製品、飲料、砂糖、調味料、小麦、小麦由来の食品(ベーカリー製品、インスタント麺など)といったタイの多数の食品製造業社を対象とする

3. タイの食品小売市場

  • タイの食品小売市場規模は、2016年には1兆8,000億バーツだった。市場規模は年率約3-5%で成長している。

  • 都市人口の増加は、モダン小売事業者の成長機会となっている。さらに、今後はモダン小売の加工食品売上にとって追い風になるだろう。一方、さまざまな加工食品が市場に参入することで、競争が激化している。
  • 国内外のブランドや流通業者は、市場シェア拡大を目指して、新しい商品、新しい味、新しい包装(サイズ・デザイン)を継続的に投入している。一方、小売店側も利益率の増加を狙って、自社のプライベートブランド商品を提供している。
  • バンコクなどの主要都市では、消費者が従来の生鮮市場や個人商店からハイパーマーケット、スーパーマーケット、コンビニエンスストアへと移行していることから、食品小売販売全体に占めるモダン小売りの割合が約70%を占める。
  • スーパーマーケットは、モダン小売セクターの中で過去3年間の成長ペースが最も早かった。

  • 食品小売市場の状況は、バンコクとその他の地域とでは全く異なる。バンコクでは、種類豊富な商品が店頭に並び輸入食品の競争は極めて激しい。一方、他の地域では、店頭に並ぶ輸入食品の種類はかなり限られている。これは、バンコク以外では消費者の購買力が弱く、依然として価格に極めて敏感だからである。
  • モダン小売事業者は、取扱商品を選択する上で大きな権限を持っている。新たに市場投入する商品について、小売事業者は製品とサプライヤーの選定に厳しい。商品を店頭に並べた後も、事業者の方針に応じて3カ月から6カ月ごとに売れ行きが評価される。
  • 採用料、取扱料、販促料、小売りマージンなどの手数料が請求されるが、その内容は小売事業者の交渉力によって異なる。

4. タイの飲食サービス市場徴

  • タイの飲食サービス市場は、外国人観光客の訪問者数の増加、食品配達・ケータリング需要の高まり、外食の増加傾向に伴って拡大が続いている。
  • タイの大手銀行系調査会社カシコン・ リサーチセンターによると、タイのレストラン市場は年率約3-5%で成長している。
  • レストランチェーンは、タイのレストラン市場全体の約30%を占める。

タイにおける日系レストラン

  • 日本食はタイでフルサービスを提供する外国食レストラン全体で最大のシェアを占める。タイは、日本にとってASEANでは最大、世界でも6番目に大きな輸出先とされている。
  • JETROバンコクによると、タイにおける日本食需要は依然として高く、2016年の日本からの食品輸入額は約330億ドルだった。
  • JETROによると、日系レストランの大半(タイ全域にある日系レストランの63%)はバンコクにある。
  • 過去数年間にわたって、日系レストランの成長は、主に百貨店のキーテナントであるレストランチェーンが拡大をけん引した。一方、日系の非レストランチェーンは、ビジネス中心街や日本駐在員の住宅地域(スクンビットエリア中心部、シーロムエリア、サートーンエリアなど)に集中している。

5. タイにおける食品流通

(1) 一般的なタイの輸入食品の流通チェーン

■国内食品製造業向け:タイに食材を輸出する輸出業者にとっては、主に二つのチャネルがある。

  • 自社で流通ネットワークを有し、製造業社に直接販売するために食材を輸入する輸入業者
  • 原産国から直接輸入する大規模食品製造会社

注:
a) 食品製造会社のほとんどは大量の在庫保有を避けるため、輸入業者を通じて食材を輸入している
b) 輸入食材のほとんどは、独占代理店または正規代理店が販売流通を行っている

■食品小売・飲食サービス事業者向け:一般的に流通チェーンは輸入業者から始まり、その後流通業者を経て、小売・飲食サービス事業者に届けられる。

食品小売

  • モダン小売向けの食品は小売業者の中央・地域流通倉庫に直接輸送される。
  • 伝統的な小売チャネル向けの食品については、流通業者から小売業者への輸送において国内の卸売業者・地域の代理店も重要な役割を果たす。

飲食サービス

  • レストランチェーン向けの輸入品は、流通業者がセントラルキッチンまで届ける。
  • 非レストランチェーン向けの輸入品は、多くの場合輸入業者も務める流通業者が、レストランに直接届ける。
  • 多くの小規模レストラン向けの輸入品は、近隣の卸売業者およびハイパーマーケットから食材を調達する。

(2) 食品流通業者

  • 食品流通業者は、多くの理由から食品製造業社・食品輸出業者にとっての重要なパートナーである。
  • →内の流通業者は、市場の状況に詳しく規制環境に精通しているため、そうした知見(市場の特徴、需要、動向など)を活用して、商品に対する潜在市場を見出すことができる
    →国内の流通業者を使用すれば、輸出業者が複数の小売チェーンやレストランと直接連絡を取る必要性が最低限に抑えられる。
    →国内の流通業者は、物流・運営コストを最低限に抑える上で有益である。

  • 適切な流通業者を選択するということが、食品製造業者や輸出業者によるタイ市場参入を成功に導く主な要因である。
  • タイの食品流通は、大手(有名多国籍企業、自社工場を有する企業、および/または自社小売チャネルを有する企業など)と、多数の独立系中小の流通業者(一部の特定/ニッチ市場のニーズを満たすために幅広い製品を提供)が担っている。

  • 流通業者の選定には、事業規模に加えて提供サービスについても考慮する必要がある。タイでの商品流通に対してワンストップサービスを提供する流通業者もある。こうしたワンストップサービスには、食品医薬品局(FDA)の登録手続きから、輸入通関手続き、マーケティングの計画・活動、顧客への商品送付までが含まれる。しかし、多数の流通業者は限定的な流通サービスのみを提供する。さらに、在庫管理と輸送サービスに限っては、大規模販売ネットワークを活用して提供するという流通業者もある。

6. タイ市場参入のための主要な検討項目

本レポートでは、タイ食品市場の主な状況についてごく一般的な情報を上述したに過ぎない。従って、食品輸出業者・製造業社が具体的に何らかの商品を効率的に上手く市場投入したいと考える場合、適切な投資判断をするために考慮すべき検討項目は多い。

吉野 弘晃/Hiroaki Yoshino

山田コンサルティンググループ株式会社
経営コンサルティング事業本部 部長

吉野 弘晃/Hiroaki Yoshino

2005年4月 山田ビジネスコンサルティング株式会社(現山田コンサルティンググループ株式会社)入社

日本国内にて事業再生、事業成長コンサルティング(戦略策定、営業戦略、オペレーション改善等)経験を経て、MBA取得後、海外テーマ(海外進出、現地法人課題解決等)が絡むコンサルティング案件に従事。タイ、シンガポールの短期赴任をきっかけに、日本国内とASEAN(特にタイを中心)と連携しながら進めるプロジェクトを推進中。

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