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2018/11/08

タイ調味料市場の概要

山田コンサルティンググループ株式会社

タイの調味料市場は、中間所得者層の拡大を背景に、食品加工業界の成長、HORECAセグメントの成長、モダントレードの発展に伴い拡大しており、2017年には市場規模1,374億円と推計され、今後も年平均成長率4%の成長が期待されている。日系企業の新製品開発力、技術力、(現地で生産した場合の)コスト競争力をベースに、タイマーケットへの参入並びにタイの周辺国への展開も含め進出していくことも検討できる。

■タイ調味料市場のマーケットトレンド

タイの調味料市場は、2017年に404億バーツ(1,374億円、換算レート3.4円/バーツ)の市場規模となっており、2013年から2017年にかけて年平均成長率5.7%であった(図表1)。今後5年間は「食品加工業界の成長」と「HORECA*セグメントの成長」に起因し、年平均成長率4.0%と予想されている。(食品業界の成長については『タイ食品市場の概要https://www.yamada-global.com/report/20180809thai/』参照)
タイの消費者は、新たな調味料製品を求めていることから、食品メーカーにはタイの消費者ニーズを捉えた新製品の投入が期待されている。特に日系メーカーにとっては、日本の消費者とは異なるタイの消費者のニーズを捉えることで販売機会を得ることができる。

*HORECA: Hotel/Restaurant/Cafe

▽調味料の製品別内訳の説明

・Sauces:
調味料市場の中で約50%を占める最も大きなセグメントであり、2017年には202億バーツ(687億円)となっている(図表1,2)。
Fish sauce , Soy sauce , Oyster sauce , Chilli sauce , Tomato sauce , BBQ sauceが含まれ、Fish sauceとSoy sauceでSauces市場の約80%を占める(図表3)。
・Instant seasoning mix:
Instant soup mix , Flavoring powder , Instant cooking sauceが含まれている。2013年から2017年にかけて最も成長したセグメントであり、年平均成長率8%で拡大しており、2017年は約100億バーツ(340億円)となっている。料理を簡単に作ることができるインスタント調味料は、タイの人々にとってもその利便性の高さから、今後も成長が期待されている。
・MSG(グルタミン酸ナトリウム):
健康志向の高まりから年平均成長率1-2%にとどまっている。MSGの主なユーザーはレストランを中心とした業務用市場となっている。

■タイ輸入調味料のトレンド

タイに輸入される調味料は2017年で約70億円となっており、市場全体からみると小さい規模である(図表4)*。
数量は2013年から2017年まで年平均成長率13.9%で成長してきたものの、金額は2.4%の成長にとどまっている(図表4,5)。主な背景は中国とベトナムを中心として低価格な調味料が輸入されているためである(図表6,7)。
しかし、タイの輸入調味料市場における需要は高まっており、「タイへの旅行者の増加に伴い様々な料理・料理店が増えていること」「中間所得者層の拡大により様々な食事をするようになってきたこと」は業務用市場において追い風となっている。また、家庭用市場では、「モダントレードのチャネル拡大による成長」がみられる。スーパーマーケットやハイパーマーケットでは輸入調味料の棚が確保され、様々な種類の調味料をみることができ、上位中間層(世帯月収5万~10万バーツ)や駐在員をターゲットにした高級スーパーマーケットでも大きく棚割りされている。(例:Gourmet Market, Villa Market, Tops, Foodland)

*図表1と図表4の商材は同じものが含まれているとは限らない

▽輸入Soy Sauceセグメント市場にみるタイ調味料市場の傾向

図表1でみたようにタイにおけるSauces市場は調味料市場の半分を占め、今後も成長が予想されている。しかし、輸入Soy Sauceセグメントの数量は微増しているものの単価は下がり(図表8)、図表4のとおり市場全体では減少傾向にある。輸入Soy Sauce市場が減少している主な理由は以下の通りである。
①外資の食品メーカーはタイに工場を設立し生産する、あるいはローカルメーカーにアウトソースすることで、価格競争力を高め、タイ市場に製品を供給している。つまり、輸入ではなく、現地生産に切り替えているメーカーが増えている。
②中国とベトナムを中心として、低価格の調味料がタイ国内に輸入されている。
③輸入Soy Sauceの価格は、タイの大きな輸入業者によって、マーケット価格に対抗するために下げられている。
④ローカルメーカーもSoy Sauceを生産することができるようになり、輸入品から現地ローカルメーカーの製品に切り替わっている。
以上より、現地メーカーに真似されやすい製品については、価格競争に巻き込まれ、輸入品では対抗することは困難であると考えられる。また現地生産に切り替えるにあたっても、自社で工場を設立する(JV含む)ことで対応する企業もあれば、現地メーカーにアウトソースする企業もあることから、各社方針は異なるものの現地生産によってコスト競争力を高めないとタイの市場で販売していくことは難しいと言える。(タイの調味料メーカーについては「図表10 売上高10億バーツ以上のタイ調味料メーカー例」参照)
図表9のOther Sauces& Condiments *はタイの消費者の生活スタイルの変化を捉えており、市場におけるニーズもますます高まっていることから今後成長は期待されるものの、先に述べた理由により単価が下落している。タイの消費者をよくマーケティングし、タイ人の求める製品及びタイのローカル企業がすぐには真似できないユニークな商材を現地プレーヤーとともに販売していく必要があるが、輸入においては試験的な販売とし、将来的には現地生産で展開していくことなど、戦略的な取り組みが必要であると考える。

▽日本からの輸入状況

図表11のタイの調味料輸入額を輸出国別にみると、日本が最も大きく、全体の約30%を占めており、日本からの輸入調味料はSoy SauceよりもOther Sauces& Condimentsが多くなっている(図表12)。タイの消費者は多くの日本料理を好むようになっており、それにより様々な種類のSaucesを求めるようになってきることが主な理由となっている。

■調味料業界の市場機会(現地ローカル企業よりインタビューA社)

実際にタイの食品メーカーにインタビューした「日系に対するタイの市場機会について」の内容を一部紹介する。

「タイの調味料市場は大きくないため、タイの食品メーカーはタイ国内のみならず周辺国及びヨーロッパ・アメリカを中心とした海外へ展開しています。タイの調味料(パウダーまたはペーストを中心)を売る場合には、あらゆるところで売られている安価な調味料により、タイ市場での販売は苦戦する可能性が高いものの、ペーストやスパイスを使って一括で料理ができるようなレトルト食品等の日本の調味料は興味深く、共働きの多いタイ人にとっては、手軽に作ることができることは重要なポイントになると考えます。」

「タイの中堅・中小企業の食品プレーヤーは、生産ラインの拡大と新たな付加価値商品の創出を目指しています。したがって、日本の調味料メーカーが日本の技術と日本基準をベースにタイの製造業者と提携することは大きなチャンスになると思います。また、サプライチェーンを拡大し、タイをASEAN市場への拠点として活用することも可能だと思います。タイの労働コストは比較的安価であり(スキルとコントロールは他の近隣諸国よりも優れている)、日本より安いコストで日本や他の国に輸出することが可能だと思います。」

「日本の中堅・中小企業がタイに投資するにあたっては、タイのマーケット・消費者についてよく学び、消費者の要求にあったマーケティング戦略を立てる必要があると思います。日系企業の持つ製造ノウハウや技術的専門性はタイの企業にとって必要です。」

■おわりに

タイの調味料市場は、中間所得者層の拡大を背景に、食品加工業界の成長、HORECAセグメントの成長、モダントレードの発展に伴い拡大しており、今後も成長が見込まれる。輸入調味料市場は製品や製品セグメントによって異なるものの、現地生産によるコスト競争力に対抗できず、製品の差別化やユニークな商材でない場合には価格競争に巻き込まれる傾向にある。タイの消費者ニーズを捉え、新製品を投入し続ける体制と生産拠点を十分検討し、タイマーケットを攻略していきたい。

吉野 弘晃/森園 マユミ

山田コンサルティンググループ株式会社/YAMADA Consulting & Spire(Thailand) Co., Ltd.

吉野 弘晃/森園 マユミ

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山田コンサルティンググループ株式会社
経営コンサルティング事業本部 部長  吉野 弘晃

2005年4月 山田ビジネスコンサルティング株式会社(現山田コンサルティンググループ株式会社)入社。
日本国内にて事業再生、事業成長コンサルティング(戦略策定、営業戦略、オペレーション改善等)経験を経て、MBA取得後、海外テーマ(海外進出、現地法人課題解決等)が絡むコンサルティング案件に従事。タイ、シンガポールの短期赴任をきっかけに、日本国内とASEANと連携しながら進めるプロジェクトを推進中。
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YAMADA Consulting & Spire(Thailand) Co., Ltd.
Consultant  森園 マユミ

タイ生まれ、タイ育ち、日英タイ語が可能。大手広告代理店で培ったマーケティングスキルを活かし、市場調査、消費者調査等のリサーチ案件を多数経験。自らの足で調査先に出向くなど、フットワークの軽さとネットワークの広さが特徴。マーケティングアドバイザリーコンサルタント。
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