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2014/05/12

中国行政当局とのやり取りで注意すべこととトラブル事例

山田ビジネスコンサルティング㈱

中国で事業展開するにあたっては、日本以上に行政当局の許認可が必要であることを実感している企業の方々は多いのではないでしょうか。

1. 中国の投資環境についての誤解と被害

中国が外国企業に門戸を開き、計画経済と市場経済をミックスした社会主義市場経済政策
をとりだしてから、20 年以上が経ちます。その間、天安門事件(1989 年)の後遺症やアジア金融危機(1997 年)等の影響で、この国の経済運営には紆余曲折がありましたが、2001
年のWTO 加盟以降は、驚異的な経済成長を遂げています。
また、過去十数年間で、外国企業に対する政策はより柔軟かつ開放的になってきていると多くのメディアが伝えています。たしかに法律等が整備され、明文化されてきたことは事実です。ただ、現場では、未だに“柔軟”“開放的”とはほど遠い、法律等の運用がなされていることがあります。
“経営範囲”についての運用を例に紹介しましょう。中国では、外資企業が会社を設立する時の手続きとして、種々の事項に関して会社所在地を所管する「商務委員会」という行政組織が審査し承認する制度があります。その後で、同じように当該地域を所管する「工商行政管理局」という役所が会社設立の登記をし、営業許可証を発行します。多くの解説書では記載していないと思いますが、この登記手続きの時に、工商行政管理局が、商務委員会が承認した経営範囲を拒否して、経営範囲について記載した文言の書き直しをさせるということが、しばしば起きています。これは、現場の自分達がルールだという計画経済当時から変わっていない権限意識が根強いからではないでしょうか。承認した機関も登記機関の主張を受け入れることがあります。開放的な投資環境のように見えて、実際は昔ながらのお役所仕事、縄張り争いが存在している、それが中国の現実です。

2. 法律は役に立つのか

縄張り争いの最大の被害者は、役所間の権力争いに巻き込まれた外資企業です。あっちの役所に行けば、「経営範囲のここの文言を直せ」、こっちの役所に行けば「これは、外資系企業には認められない業務」などなど、外資系企業の現地責任者は申請書を持って右往左往させられます。中国の役所という正面からの攻撃に加えて、本国の親会社の経営陣から、「会社設立ごときで何をもたついているんだ!」と背後から弾を撃たれることもしばしば。時間に追われる中、中国語で書かれた「経営範囲」の内容の見当がつかないまま、遂には、エイやっと、手続きを済ませることもあります。
文言ひとつで経営範囲が大きく違ってしまった実例もあります。ある会社では商務委員会の承認を受け、「素材加工」を経営範囲としました。ところが、工商行政管理局から、加工の明細を記載することを要求され、「A 素材及びB 素材の加工」と素材の種類を特定する文言に変更させられてしまいました。ある時、その会社は顧客の要求により、A 素材に変わってC 素材の加工を行いました。元々、各種素材加工として必要な設備はありましたし、廃棄物等の点でも操業上の問題はなかったのですが、「C 素材の加工」という文言が抜け落ちていることに気がついていませんでした。しばらくして、税務局の知るところとなり、経営範囲を逸脱して業務を行ったとして、当該所得部分数百万元を全て没収されてしまいました。
また、ある会社では事業につき商務委員会が批准したものの、登記場所(本社)が本社事務用オフィスであり、実際の事業所ではなかったため、工商行政管理局が実際の事業を経営範囲に入れることを認めませんでした。登記場所とは別の事業所で事業を行うことにつき、設立手続きを請け負ったコンサルタント会社が問題ないとしたため、そのままにしていました。しかし、事業が軌道に乗った頃、中国系ライバル会社の密告にあって、工商行政管理局の査察が入りました。同局がその会社が本社とは別の場所にある事業所で行っていた事業は経営範囲外であるとした為、その事業所の所得は全て没収されてしまいました。
いずれの会社も、地方政府の歓迎を受け、法的手続きを踏んで進出した企業です。ところが、別の行政当局が独自の見解を示して、従前の法の解釈を覆してしまったのです。そして、その背後に税務局の徴税ノルマ達成や進出を妬む別の勢力があるというフィクションのような事実があることも忘れてはなりません。

2. 軽視できない日中政治関係

これまでは、外貨獲得の担い手である外資系企業に対して、対外商務部門は積極的にアプローチしてきましたが、内需が経済成長を支え、内向きの政策が大事になってきた昨今、外資系企業の重要度が相対的に低くなりつつあります。
それに加えて、中国では、中央集権化を強化する「習李体制(習近平・李克強体制)」という言葉を末端の行政当局の人々も口にするようになっています。これまでは地方の各行政組織とのパイプが太ければ、地方行政組織の裁量により、上述のようなトラブルも解決はしやすかったのですが、今では、状況が変化しているようにも思えます。中央集権化が強化された結果、地方の下部機関が上部機関の承認を仰ぐ傾向がでてきており、物事の決定速度が遅くなっているようです。
そして「日本」というキーワードは地方の行政当局にとっても、やや厄介な存在になりつつあるようです。

宮田顯

山田ビジネスコンサルティング㈱
中国事業部部長

宮田顯

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