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2016/12/01

マレーシア/マレーシア会社法の改正

税理士法人山田&パートナーズ

1965年に制定された会社法が約50年ぶりに全面改正されました。一人株主・一人取締役会社の容認、定款作成の任意化、非公開会社の定時株主総会の免除など会社設立・運営が簡素化されました。また役員報酬の承認に関する規定が設けられるなど役員の管理責任についても明記されました。

1.改正の背景
 現在の会社法(COMPANIES ACT 1965)は1965年に制定されたもので、会社経営上の事務負担軽減やコーポレートガバナンスの向上などの時代の要請に応じた改正が必要とされてきました。数年の議論を経て、本年2016年に新たな会社法(COMPANIES ACT 2016)が採択されました。9月15日には官報に条文が公表され、2017年から施行されます。
 なお本文では、1965年会社法を現行法、2016年会社法を改正法と記載します。
 
2.改正内容
 主要な改正点は次のとおりです。
(1)一人株主、一人取締役の容認
 現行法では、設立時における株主は最低2人以上とされ、取締役も最低2人以上とされています。改正法では、株主および取締役ともにも最低1人以上とされました。
 また現行法においては、取締役はマレーシア居住者であることが要件です。この居住者要件は改正法においても引き続き適用されます。
 
(2)定款の自由化
 現行法では、会社名、設立目的、株主の責任の有限性などを記載した定款の作成が義務付けられています。改正法では、定款を作成するか否かは会社が選択することができ、定款がない場合であっても会社法に従った権限が付与され、かつ義務が課されます。
 
(3)非公開会社の年次株主総会開催義務の免除
 現行法では、法人は年次株主総会(General Annual Meeting)を開催する必要があります。改正法では、非公開会社(Private Company)については、開催義務が免除されます。
 
(4)弁済能力判定(Solvency Test)の導入
 改正法では弁済能力判定(Solvency Test)が導入され、会社は下記の取引を行う場合には、12ヶ月以内の債務弁済が可能であることおよび、債務超過でないことを示す必要があります。
 ① 配当を行う場合
 ② 減資を行う場合
 ③ 自己株式を購入する場合
 現行法では、利益が生じていれば配当可能とされていますが、改正法においては弁済能力判定を行った上で配当を行わなければなりません。
 また現行法では、減資を行うためには裁判所の認可が必要とされています。改正法では、現行法の裁判所の認可による方法を残しつつ、弁済能力判定を会社が実施して減資を行う方法も選択できます。
 
(5)役員の義務と責任および役員報酬決定プロセスの明示
 改正法においても、役員による会社資産の私的流用や役員貸付については引き続き規制されています。加えて役員の義務と責任として一章節が設けられ、役員の経営への責任と資質や知識の維持などの倫理規定が明示されています。
 また改正法では役員報酬について、公開会社(Public Company)および上場企業とその子会社は、株主総会に諮る必要があります。非公開会社(Private Company)については、取締役会において役員報酬の決議が可能ですが、議事録を株主に公表する必要があります。10%以上の議決権を有する株主は、役員報酬の決定に疑義があると判断した場合には株主総会で決議するよう求めることができます。
 
(6)株式購入のための資金支援の一部解禁
 現行法では、会社がその会社の株式またはホールディングカンパニーの株式を購入しようとする者に対して資金援助を行うことは禁じられています。改正法では、株主資本(Shareholder’s fund)の10%超えない金額の支援であれば、取締役の合意などを前提として認められます。
 
3.改正の影響
(1)会社の設立・運営の簡素化
 一人株主、一人取締役が認められ、また非公開会社(Private company)は年次株主総会の開催義務が免除されるなど、会社運営が簡素化されたことで費用負担軽減が期待されます。
 
(2)株式購入のための資金支援の一部解禁
 株式購入に係る資金援助が一部解禁されたことで、組織再編などにおける選択肢が増すと考えられます。
 
(3)コーポレートガバナンスの向上
 役員の義務と責任が明示され、より透明性の高い会社運営が求められます。日本の親会社にとって、マレーシアの子会社のコーポレートガバナンスを高める機会になると考えられます。

鈴木 幹大

税理士法人山田&パートナーズ
税理士

鈴木 幹大

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