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2013/02/26

メコン地域に属するカンボジア・ミャンマー進出前に知るべきこと

山田ビジネスコンサルティング(株)

メコン地域とは、メコン川が流れる中国雲南省、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムと、メコン川沿いではないが中国広西チワン族自治区から構成される地域の総称です。
メコン地域は、総延長4,200キロメートルに及ぶ巨大なメコン川によって分断され、この分断が、この地域の経済発展の阻害要因の一つになっていました。そこで、この地域の経済発展のため、1992年から、メコン河流域経済協力計画(GMS:Greater Mekong Sub-region Economic Cooperation Program)が始まっています。この計画の最も代表的なものが、「経済回廊」です。具体的には、インドシナ半島を縦断して中国南部からタイやベトナムに至る南北経済回廊、インドシナ半島中央部を横断してベトナムからミャンマーに至る東西経済回廊、インドシナ半島南部を通ってベトナム南部からタイ南部に至る南部経済回廊です(左地図)1
従来は一つ一つの点に過ぎなかった各地域を面として開発していくというコンセプトです。メコン地域を面として捉えると、人口3億人超の、将来の一大経済圏という姿が浮かび上がってきます。安価で豊富な労働力と大きな伸びシロを持つ市場、つまり製造拠点としても、将来の市場としても、メコン地域は魅力的ということです。

今回及び次回は、メコン地域の中で、特に注目度が高く、それでいて、日系企業の進出がまだそれほど進んでいないカンボジアとミャンマーの概要を紹介いたします。

*1 日経ビジネスオンライン 「マニラ便り~アジア経済の現場から 高成長する「3億人」のメコン河流域“成長センター”になるのに不可欠なインフラ整備」2010年1月15日アジア開発銀行総裁(本稿執筆時) 黒田東彦氏参照

メコン地域

JICA HPより

1.カンボジア

カンボジアの人口約1,500万人、GDPは129億ドル(一人当たりGDP852ドル)2と、アセアン10カ国の中でも経済発展が最も後れた国の一つです。その要因の一つであった不安定な政情は、2004年の第二次フン・セン内閣発足以降、安定状態に入ったといわれています。実際、海外からの直接投資は2004年以降急増し、GDPもリーマンショック時の落ち込みを脱し2011年は6%成長を実現しています。

ジェトロ資料より
ジェトロ資料より

ジェトロ資料より

*2 ジェトロ資料「東アジア各国・地域の経済力比較(2011年)」より

(1)日本との関係

日本は、カンボジアに対して多額の援助を行っています(92年以降トップ・ドナー)。最近の援助額は、2009年度223億円、2010年度152億円、2011年度207億円、内容は、南部経済回廊の道路改修・橋梁建設、シハヌークビル港(カンボジア唯一の深海港)の開発支援、シハヌークビル港経済特区の建設などのハードウェアの整備に加え、産業人材育成・教育などソフト面での支援も行っています3

*3 外務省資料より

(2)投資環境

日本政府が多額の援助を行ってきた背景の一つがインフラの未整備です。電力は特に問題です。経済特区以外は停電が頻発していますし、また電気料金も周辺国の約2倍と割高です(グラフ2)。産業集積も進んでおらず、原材料・部品を、現地・近隣地域(タイ・ベトナム(ホーチミン)など)以外の地域から輸入する場合には、輸送コストの上昇に加えて、リードタイムの伸長というデメリットも発生します。ワーカーの識字率も低い水準にあり、寺子屋を設置している日系企業もあります。これらの不足は、経済発展の伸びシロの大きさも表しています。
人件費は安く(グラフ1)、ワーカーの供給余力も高いといえます(地域にもよりますが)。また、他の東南アジア諸国と比べて、際だって外資規制のバーが低いという特徴があります。例えば、小売・サービス業は、多くの東南アジア諸国では独資での参入が制限されていますが、カンボジアにはこのような制限がありません。

<グラフ1>

ジェトロ資料「第22回 アジア・オセアニア主要都市・地域の投資関連コスト比較(2012年4月)」より

<グラフ2>

ジェトロ資料「第22回 アジア・オセアニア主要都市・地域の投資関連コスト比較(2012年4月)」より

ジェトロ資料「第22回 アジア・オセアニア主要都市・地域の投資関連コスト比較(2012年4月)」より

(3)日系企業の進出状況

日系企業の進出状況ですが、2011年3月末現在の進出企業は50社に過ぎなかったのが、2013年2月現在で101社と増加傾向にあります 。主要進出日系企業として、ミネベア、モロフジ、プロシーディング、住友電装、矢崎総業、スワニー、シマノ、コンビ、ミカサ、アルペン、王子製紙、ヤマハなどがあります。また、イオンは、2014年春に、プノンペンにショッピングセンター(店舗数約150、延べ床面積約10万平方メール)を開業する予定です。
進出企業の特徴は、労働集約型(人件費が安く電気代が高い)、輸出加工企業、中国・タイ・ベトナム等からの生産工程の一部移転、電子部品・自動車部品・縫製・製靴・プラスティク製品・金属製品等、です。

ちなみに、本稿執筆現在、プノンペンと日本を結ぶ飛行機の直行便はありませんが、中国・韓国を結ぶ直行便はあります。カンボジアへの直接投資額も、中国・韓国が日本を大幅に上回っており、また、プノンペン市内のそこかしこにKTV(中国風カラオケボックス)のお店があり、韓国資本の大きなビルが目立っているなど、見た目にも、中国・韓国の存在感を印象づけられます。
しかし、金額はさておき、日本からの投資は、カンボジアの産業発展・雇用創出に直結する質が良いものと評価されているようです(中国・韓国勢は、不動産・天然資源投資が多いようです。)。東日本大震災の時、カンボジアには、日本のために祈りや寄付を捧げてくれた方が沢山いたようです。そんな親日的な国なので、日系企業の進出が安定的に増加することを期待したいものです。

プノンペン市内の韓国資本の高層ビル 2012年11月筆者撮影

*4 カンボジア日本人商工会正会員数

2.ミャンマー

ミャンマーの人口は約6,200万人 (4,800万人 )、GDPは519億ドル(一人当たりGDP832ドル) と、カンボジア同様経済発展が後れています。 政治面でも長らく軍事政権が支配する体制が続いていましたが、テイン・セイン大統領による民主化路線の推進、欧米の経済制裁措置の一部停止など、ミャンマーの経済発展を妨げる要因が取り除かれつつあります。言い換えますと、今まで手ぐすねを引いて、進出機会をうかがっていた欧米・日本等の企業が堰を切ったように進出する可能性があるということです。

ジェトロ資料

ジェトロ資料:2010年の直接投資額が突出しているのは資源投資が集中したため。

ジェトロ資料:2010年の直接投資額が突出しているのは資源投資が集中したため。

*4 カンボジア日本人商工会正会員数
*5 IMF推計値
*6 国連予測値
*7 ジェトロ資料「東アジア各国・地域の経済力比較(2011年)」より

(1)日本との関係

日本政府からの最近の援助額は、2009年度49億円、2010年度31億円 と、カンボジアと比べて低い水準です。2003年5月のアウン・サン・スー・チー氏拘束以降、経済協力を基本的に停止していたためです。しかし、本年(2013年)1月に総額約1,989億円を限度とする円借款貸付契約に調印が行われるなど、今後はミャンマーへの援助額は増加することになりそうです。援助の対象は、ティラワ地区開発事情(経済特区周辺インフラ、港湾整備)、緊急リハビリテーション・増強事業(セメント、火力発電等)、地方開発・貧困削減事業(7地域・7州の基礎インフラ整備)、ヤンゴンのインフラ整備(電力、都市交通、上下水)、全国インフラ網(エネルギー、運輸、通信、金融)、農業・地方開発(灌漑・地方インフラ)などです 。

(2)投資環境

ミャンマーは、カンボジアよりも、インフラが脆弱です。電力・道路・鉄道・港湾・通信その他、全てのインフラといっても大げさではありません。産業集積も進んでいません。工業団地の選定に際しても、インフラの整備状況の確認に特に注意を払う必要があります。これらの不足は、経済発展の伸びシロの大きさも表しています。
外資規制を定めた外国投資法の改正法が昨年(2012年)11月に成立しました。国内企業保護色が強かった旧法と比べて、新法は、外資積極誘致色を強めたものの、外資投資決定をミャンマー投資委員会(MCI)の裁量に委ねるなど、依然不透明感が残るものになっています。
人件費は安く(1.カンボジア(2)投資環境 グラフ1)、識字率も92%以上(15歳以上)と高い水準にあります。ちなみに、ミャンマー人は英語を話せる人の割合が高いという意見もありますが、実際には、40歳代未満の世代になると英語を話せる人が極端に少なくなってしまうようです。

(3)日系企業の進出状況

ミャンマー進出日系企業は、2012年10月現在で91社 となっています。主要進出日系企業は、クボタ、YKK、ハニーズなどです。また、スズキ、ロート製薬、ローソン、コナカその他多くの企業が進出を表明しています。
今のミャンマーは、他国より発展が後れていますが、太平洋戦争前後のミャンマーは、東南アジアで最も進んだ国であり、最も独立の気運が高かった国であったそうです。ところで、ヤンゴン市内でタクシーに乗っていて、とても気持ち悪く感じるのは、自動車が右ハンドルでありながら右側通行であることです。右ハンドルは、自動車のほとんどが日本の中古車という事情によるものですが、右側通行としているのは、旧支配国イギリス(左側通行)に対する反発心からだそうです。この辺りもミャンマー人の独立心を象徴しているのかもしれません。
シンガポールの元首相で建国者のリー・クアンユー氏もシンガポールの都市計画に際して、ヤンゴンを参考にしたそうです。
また、ミャンマーは、タイ・中国・バングラディッシュ・インド・ラオスと国境を面し、ベンガル湾にも面しています。更に、経済回廊を経由してベトナム・カンボジアとも繋がっています。つまり、様々な地域への供給基地として、とても便利な場所ということができます。
これらを考えると、ミャンマーが先を行く東南アジア諸国に追いつくのに、そんなに時間はかからないかもしれません。

*8 外務省資料より
*9 JICA資料より
*10 帝国データバンク調査

ヤンゴン市内の裏通り

ヤンゴン市内の裏通り 2013年1月筆者撮影
裏通りのホテルでもシングル1泊90ドルと決して安くはない。

以下次回に続く

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