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2014/08/19

ミャンマー進出のポイント

山田ビジネスコンサルティング(株)

近年、「アジア最後のフロンティア」としてミャンマーが注目を集めています。2011年に総選挙による政権が発足し、長期間にわたる軍事政権が終焉を迎えました。民主化改革の中で、インフラや法制度の整備が急速に進んでおり、日本企業にとって進出先の選択肢の一つとなってきています。
今回は、ミャンマーの現状と進出のポイントをご紹介します。

1.基礎情報

ミャンマーは、中国、インド、タイなどと国境を接し、東南アジアではインドネシアに次ぐ2番目の面積(約68万m2)を誇ります(図1)。人口は約56百万人、その45%近くが24歳以下(The World Factbookより)と非常に若く、今後も人口の増加が続くことが見込まれています。
第二次世界大戦後、イギリスから独立しますが、1960年代以降は軍事政権による鎖国的な体制が続いていました。
2011年に総選挙を経てテイン・セイン政権が発足、民主化改革が進み始めました。欧米諸国が人権侵害を問題視して課していた経済制裁が緩和され、日本も円借款の供与を再開するなど、国際社会の中でも徐々に改革の成果が認められてきています。
このような歴史を持つため経済発展は遅れています。第一次産業がGDPの約4割を占める産業構造となっており、一人あたり名目GDPは東南アジア諸国の中で最も低い水準にあります(図2)。タイや中国など周辺国への天然ガスの輸出が、外貨獲得の柱となっています。
また、2006年には行政上の首都がヤンゴンから内陸のネピドーに移転しました。ヤンゴンからはプロペラ機で1時間、車では5時間程度の道のりです。国会議事堂や官公庁舎が移されましたが、人口や産業の移転はほとんど進んでおらず、閑散としています。国会議事堂に通じる道路は10車線もの広さがあり(図3)、有事の際には滑走路として使われるのではないか、とまことしやかに噂されています。ホテルやショッピングセンターなどはあるものの、切り開かれた広大な土地に点在しており、公共交通機関も全く整備されていません。ネピドーで働く公民の多くは、家族をヤンゴンに残して単身赴任しているのが実情です。更に、2014年6月には、外資企業の進出に関わる投資委員会(MIC)の事務所がネピドーからヤンゴンに移転しました。新しい首都として、想定していた通りには機能していない側面がうかがえますが、進出を検討する外資企業にとっては朗報と言えるでしょう。

図1 ミャンマーの立地

出典:Google Map

図2 一人あたり名目GDP比較(2012年)

JETRO資料より筆者作成

図3 国会議事堂前の道路(ネピドー)

筆者撮影(2014/7/8)

2.進出先としての魅力

図4 ヤンゴン日本人商工会議所 会員社数推移

ヤンゴン日本人商工会議所資料より 筆者作成

日本企業の進出先として、大きく3つの魅力が挙げられます。立地の良さ、消費市場としての可能性、日本人と親和性の高い国民性です。
まず、巨大な消費大国である中国、インドや、東南アジアの一大消費地であるタイに隣接する立地です。主要な消費地の中心に位置することは大きな重要性を持ち、産業発展を牽引する要因となり得ます。タイには日本企業が多く進出しており、関連する企業のミャンマー進出にも期待がかかります。また、インド洋に面する港を持つため、インドはもちろん、中東や欧州方面への海運にも大きなメリットがあります。
消費市場としてはまだ成長段階ではありますが、若年層が多く、人口の増加が見込まれます。民主化により国際社会との接点が増え、若者は新しい文化や商品を取り入れることに積極的であると言われています。これから経済発展が進み、所得が増加することにより、オープンで大きな消費市場となる可能性を持っています。
労働者については、賃金が低いだけでなく、日本人に近い国民性であることが日本企業にとっては大きなメリットです。仏教国であることもさることながら、勤勉で控えめな国民性で、日本人と非常に親和性が高いと言われています。更に、識字率は90%を超え、ミャンマー語と日本語は文法が似ていることもあり、多くの若者が日本語を学習しています。インドネシア、タイ、ミャンマーと工場を渡り歩いてきた方は、ミャンマー人が圧倒的に一緒に仕事をしやすい、とおっしゃっていました。
実際、民主化後に日本企業の進出は急速に増えてきています(図4)。工場を持つ製造業企業はまだ10社程度と少ないですが、今後の更なる進出を見越して、運輸、流通、サービス、建設といった業種の進出が多くなっています。

3.進出におけるリスク

進出におけるリスクとしては、脆弱なインフラ、法制度の未整備、不安定な政治といった点が挙げられます。
インフラで最も大きな問題となるのは電力です。7割以上を水力発電に依存していますが、乾季と雨季がはっきりしており、特に乾季の終わりの4~5月には水量不足で停電が頻発します。他の時期も電力供給は安定しておらず、自家発電機を設置する企業がほとんどです。無視できないコストとなるので、進出計画策定の際には注意が必要です。
物流、通信、上下水道といった他のインフラの整備状況もまだまだ不十分です。例えば、タイと国境を接しているとはいえ、一部区間は日ごとの一方通行となっており、ヤンゴン-バンコク間は4日程度を要します。しかし、数週間かけて海路で輸送していたことと比べると、大きな改善が進んでいるとも言えます。主要港のヤンゴン港は河川港であり、港につながる一部航路の水深が足りず、入出港のタイミングを潮の干満に合わせなければならないため、非常に時間がかかります。
外資進出に関わる法制度も整備されつつありますが、細則が制定されていなかったり、明文化された基準だけでは判断できずに当局の判断に委ねられたりするケースがまだ多い状況です。現地の最新情報を入手し、専門家のアドバイスを踏まえて検討を進めることが必要です。
また、民主化が進められているとはいえ、テイン・セイン大統領の属人的な部分が大きいと言われており、2015年に控える大統領選挙の結果によっては政権の方針が転換する可能性があります。更に、民主化によるリスクとして、軍事政権下では抑えられていた民族間、宗教間の対立が表面化することも危惧されます。

4.ティラワ経済特別区

図5 ティラワ経済特別区

筆者撮影(2014/7/7)

日本企業の進出先として大きな注目を集めているのが、ティラワ経済特別区です。
ヤンゴンの南東、車で1時間弱の川沿いで、2,400haの地区の開発計画が進んでいます。JICA、日本の総合商社3社、ミャンマー政府、ミャンマー企業9社の出資により開発事業を行う特別目的会社が設立され、第1期の400haが2015年夏に開業予定です。筆者が2014年7月に訪問した際には、水道管等の敷設が始められた段階でした(図5)。既に12社が予約契約を締結しており、うち6社が日本企業です(8月15日 日刊工業新聞より)。
インフラ整備には日本から円借款が供与され、電力施設、物流施設を中心に充実が図られています。また、2014年1月に制定された改正経済特区法には、税制や土地のリースについての優遇策が盛り込まれており、細則の策定が進められています。
ミャンマーで初めての経済特別区であり、今後の外資企業進出の可能性を問う試金石とも言えるプロジェクトです。計画的な環境整備によって、インフラや法制度のリスクが解消されることが望まれます。

以上、ミャンマーの現状と進出のポイントのご紹介でした。投資環境が整備されている途上の国であり、法制度の改正などには十分に注意が必要ですが、進出先として大きな可能性を秘めています。今後、ミャンマーで活躍する日本企業が増えていくことが期待されます。当社でも引き続き情報収集を続け、支援体制を整えてまいります。

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