まずはお気軽にご相談ください

個人・中小企業様の海外進出、税務・会計・事業コンサルのご相談は

ご相談窓口(平日 9:00~17:00) 0120-123-456

お問い合わせ

駐在員レポート・コラム

column

海外駐在員が各国の現地情報、税制などを発信しています

このエントリーをはてなブックマークに追加

2018/08/27

アメリカ/米国における情報開示義務

税理士法人山田&パートナーズ

1.概要

米国居住者等(米国籍保持者、グリーンカード保有者、税法上の米国居住者等)は、米国外に保有する金融資産に関する情報を毎年IRS (Internal Revenue Service) FinCEN (Financial Crimes Enforcement Network) に開示する義務があります。また米国居住者等が米国外法人の株式を保有している場合や、相続又は贈与により財産を取得した場合も開示義務があります。これらの開示手続きを怠ると、大きなペナルティが発生する可能性があります。

 

これまでの開示義務を失念していた申告者に対しては、自主開示プログラムも用意されており、所得税申告及び情報開示を適正にやり直すことでペナルティの額を軽減できる可能性があります。

 

2.米国外で保有する金融資産に関する情報開示

米国居住者等が米国外に一定額以上の金融資産を保有している場合は、FBAR及びForm8938により金融口座の情報開示を行います。

 例えば、日本国籍・日本居住・グリーンカード保有者の方が日本の銀行等に金融資産を一定額以上保有している場合も対象となります。

 

FBAR

(Report
of Foreign Bank and Financial Accounts)

Form8938

対象者

米国市民、米国居住者(グリーンカード保有者など)、米国で設立された法人・パートナーシップ・信託・遺産財団 など

米国市民、米国居住者(グリーンカード保有者など)

要件

海外に合計$10,000を超える銀行・証券口座を暦年中に一時点でも保有していた場合

海外に一定の金融資産(※1)を持つ場合

開示資産

米国外金融機関口座、米国外証券口座、50%超所有し支配しているEntityで保有している海外金融資産、外国ミューチュアルファンド、外国生命保険 など

米国外金融機関口座、米国外証券口座、口座外で保有する外国株式、外国パートナーシップ持分、外国ミューチュアルファンド、外国生命保険 など

主な開示情報

暦年中の最高残高及び金融機関・口座情報

暦年中の最高残高及び金融機関・口座情報

提出先

FinCEN

(Financial Crimes Enforcement Network)

ペナルティに関してはIRSに権限を委譲

IRS

(Internal Revenue Service)

提出期限

所得税申告書の提出期限(4/15)と同様(延長も可能)

所得税申告書の提出期限(4/15)と同様(延長も可能)

ペナルティ

1年ごと)

・過失の場合 ・・・ 1口座につき$10,000

・故意の場合 ・・・ 1口座につき$100,000か口座残高の50%のいずれか高い方

※ 悪質な場合は、上記のほかに刑事罰あり

$10,000

IRSの通知があってから90日以内に提出しない場合には30日ごとに$10,000の追加ペナルティ

最高$60,000

※ 悪質な場合は、上記のほかに刑事罰あり

1 一定の金融資産

独身

夫婦合算申告

夫婦個別申告

米国居住

暦年最高残高

$75,000

$150,000

$75,000

暦年末残高

$50,000

$100,000

$50,000

国外居住

暦年最高残高

$300,000

$600,000

$300,000

暦年末残高

$200,000

$400,000

$200,000

 

3.米国外法人の財務内容、相続・贈与に関する情報開示

米国外に保有する金融資産だけでなく、米国外法人に関する情報も情報開示の対象となる可能性があります。その場合にはForm5471で情報開示を行います。また、米国居住者等が米国非居住外国人から相続又は贈与により財産を取得した場合には、Form3520で情報開示する必要があります。

  

Form 5471

Form 3520

対象者

米国市民、米国居住者(グリーンカード保有者など)、米国内のパートナーシップ・法人・遺産財団・信託

米国市民、米国居住者(グリーンカード保有者など)、米国内のパートナーシップ・法人・遺産財団・信託 など

要件

・取締や執行役になっている外国法人株式を10%以上取得した場合

・外国法人株式を50%超保有している場合

・米国株主が50%超の株式を保有している外国法人の株式を10%以上保有している場合 など

・米国非居住外国人から$100,000を超える財産を相続又は贈与により取得した場合

・米国外法人又はパートナーシップから$15,601を超える財産を贈与により取得した場合 など

主な開示情報

・株式保有状況

・外国法人の財務内容

・サブパートF所得に関する発生状況

・贈与者及び受贈財産の詳細、時価

提出先

IRS

(Internal Revenue Service)

IRS

(Internal Revenue Service)

提出期限

・所得税申告書の提出期限(4/15)と同様(延長も可能)

 

・所得税申告書の提出期限(4/15)と同様(延長も可能)

・相続により財産を取得した場合で、遺産税の申告が必要なときは、遺産税申告書の期限(相続発生日から9ヶ月以内)と同様(延長も可能)

ペナルティ

1年ごと)

$10,000

IRSの通知があってから90日以内に提出しない場合には30日ごとに$10,000の追加ペナルティ

最高$60,000 など

$10,000又は受贈財産の5%いずれか大きい額

IRSの通知があってからも開示しない場合は30日ごとに5%の追加ペナルティ(最大25%) など

情報開示の失念が故意でなく、合理的な理由があったことを示すことができれば、ペナルティは免除される。

 

4.自主開示プログラム

開示義務を果たしていない申告者に対しては、自主開示プログラム等が用意されており、過年度の所得税申告及び情報開示を適正にやり直すことでペナルティの金額を軽減することができる可能性があります。

 

OVDP

Offshore Voluntary 

 Disclosure Program

Streamlined Filing

Compliance Procedures

制度概要

2009年に始まり2012年よりIRSが受付を再開したプログラムであるが、2018928日に終了となることが決まっている。

2012年より最初は米国非居住者を対象に始まったプログラムである。2014年より対象者が拡充され、米国居住者も適用できるようになった。

情報不開示が故意である場合の参加可否

参加可

参加不可

参加要件

このプラグラムへの参加をIRSに承認してもらう必要がある。

適正な情報開示(8年分)及び必要な場合には修正申告(8年分)

情報不開示が故意でないことをIRSに認めてもらう必要がある。

適正な情報開示(FBAR6年分)及び必要な場合には修正申告(3年分)

ペナルティの軽減

資産残高が一番高かった時のその資産残高の27.5%にペナルティが軽減される(口座を有する外国金融機関がIRS又は米国司法省の調査を受けている等の場合は50%)

資産残高が年末時点で一番高かった時の5%(米国居住者)又は0%(米国非居住者)にペナルティが軽減される

刑事訴追のリスク

回避できる

故意であることが判明した場合には、刑事訴追の可能性が残る

 

5.ペナルティについて

各項目のペナルティについては、提出するまで基本的に時効が来ないため過去何年も遡って課される可能性もあります。ペナルティを軽減するための自主開示プログラムであるOVDP2018928日に終了することが決まっており、Streamlined Filing Compliance Proceduresについても今後終了する可能性があることをIRSHPで報告されています。情報開示を行っていない項目については、早めに対処していく必要があると考えられます。

岩崎 理恵

税理士法人山田&パートナーズ

岩崎 理恵

▲ ページトップへ